CADDi DRAWERの元となったシステムは、キャディがCADDi MANUFACTURINGのサービス運営で生じた課題を解決するために内製したものだ。CADDi MANUFACTURINGは顧客から預かった図面データを解析して、加工品の製作から納品までワンストップで行う。これに際して大量の図面データを解析し、構造化する必要があるが、このプロセスの負担を削減するため効率化するシステムを開発したという。
白井氏は製造業の図面データ活用の現状について、蓄積はしていてもそれを日々の業務に上手に活用できていない例も少なくないと指摘する。活用が進まない理由は「10年以上の前の図面が紙で保管されている」「担当者が個別フォルダで管理している」「システムに保管されているが、検索機能が不便で活用しづらい」などが考えられる。
白井氏は「いずれにせよ、このために設計/調達担当者は図面やそれにひも付く価格情報を検索するだけで月に平均約10時間を割かざるを得なくなっている」として、効率化の余地は大きいと説明した。
図面検索の非効率性は、発注単価に余分な振れ幅を持たせてしまうことにもつながりかねない。加工工程が似通った図面であっても、比較すると大きい場合で数十%程度、発注単価のギャップが生じている場合があるという。過去の図面や発注実績を参照せず、毎回、個別見積もりを行っていることが原因と考えられる。
また現場レベルでは「探すより描く方が早い」という理由で、新規図面を描き起こす事態も生じているという。「本当に簡単な図面であれば、ベテランの設計者は1〜2分で描ける。そもそも、仮に探して図面を見つけても、自身の求める要件に本当に適合しているかを確認する手間がかかる。それなら、探す時間がたとえ5分で済むのだとしても、自分で(要件を)頭に入れつつ新規図面を描く方が早いということになる」(白井氏)。
こうした状況の放置は新規図面の作成/検図のコストや、発注工数、受入検査工数の増大、新規図面ゆえの不具合率上昇といったデメリットを引き起こす。現場ノウハウの属人化が進むことにもつながりかねないだろう。こうした課題は企業規模によらず発生し得る。ケースバイケースではあるが、CADDi DRAWERを使えば従来10分以上かけて探していた図面が、わずか1〜2分程度で見つかるようになり、課題解決に大きく貢献し得る。
キャディは紙図面を低コストでデジタル化する「CADDi DRAWER 紙図面デジタル化パッケージ」なども提供している。今後、CADDi DRAWERではPLMなど他システムとの機能連携や、CADDi MANUFACTURINGとのサービス連携も検討していくという。
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