江崎グリコは、生産子会社であるグリコマニュファクチャリングジャパン 千葉工場において、2019年5月〜2022年12月にわたり、水質規制値の基準値を上回る排水をのべ50件行い、その行政報告において、水質分析データを、のべ97件書き換えていた事実を確認したと発表した。
江崎グリコは2023年3月7日、生産子会社である「グリコマニュファクチャリングジャパン株式会社千葉工場」(千葉県野田市)において、2019年5月〜2022年12月にわたり、水質規制値の基準値を上回る排水をのべ50件行い、その行政報告において、水質分析データを、のべ97件書き換えていた事実を確認したと発表した。
今回の水質データ改ざんが発覚したのは、2023年2月23日に排水処理施設から未処理の水があふれ出し外部へ流出した事故が発生したためだ。この事故の調査を行う過程で、過去の水質分析結果を確認したところ、基準の超過や、データの書き換えが発覚したという。
具体的には、2019年5月〜2022年12月までの間、「総窒素(T-N 濃度・総量)」と「総リン(TP 濃度・総量)」の水質規制値を超過した状態で公共河川(座生川)に流出させていた。また、整合性を取るために、行政報告において記載内容を書き換えて提出していた。
また、法定データ保管期限が3年分であるためデータは残っていないが、社内調査の結果によると新工場立ち上げ時の2017年にも千葉県の立ち入り検査で基準値を超過する排水が出ていたことが発覚しており、これは加圧浮上装置を設置することで改善を図っていた。
江崎グリコの社内調査では、規制値超過の原因として、2019年にグリコ製品「アイスの実」の生産を開始したことで、流入水の水質が大幅に変化したことを挙げている。これにより、膜処理工程での詰まりが起こり、調整層の水位が高まってしまう状況が発生し、その際の適切な処置対応が不十分であったことから、規制値超過がたびたび発生する状況になったという。
こうして基準値を超える排水が流出する環境が生まれたにもかかわらず、担当者が処理水の濃度基準の超過を大きな問題として取り扱わずに測定値の書き換えが発生したという流れだ。また、改ざん後も工場長や上長への報告、連絡、相談も実施しておらず、確認や発見ができなかったとしている。
さらに、施設管理の面でも設備維持面での問題、異常時対応の体制に関する問題も挙げている。システムによる常時監視の測定項目である処理水の濃度について、規制値超過時はアラームが発せられる仕組みとなっていたものの、実際にはそのアラームを受けて適切に対処する体制ができていなかった。また、送水ポンプや脱水装置、膜処理装置などのメンテナンスや管理体制も不十分であったとしている。
江崎グリコでは再発防止策としてまず、排水基準順守のための体制を整備。2023年2月28日からモニタリング頻度の強化や生産体制を考慮した管理体制に改め、モニタリングしている数値が上昇した場合は、生産活動を即時停止するなど、アラーム後の対応ルールを決めた。また、排水処理設備の安定稼働を確保するための対策を2023年3月末までに準備するとしている。
さらに、法令順守(総量規制、濃度基準)の重要性に関して再教育を2023年3月から開始。生産職場と連携を取りながら、異常時には速やかに上司への報告、連絡、相談ができるよう再整備を行った。加えて、コンプライアンス教育に関する資料に今回の事例を組み込む形とし、2023年6月までに改訂する。
管理体制としては、順守状況の評価や判断を該当部門の上長、工場長が行うことにし、運転状況の傾向把握や異常時の適切な処置が行えるようにした。また、未処理水や基準超過した排水の流出や漏えいを想定した対応手順を作成し、定期的な訓練およびレビューを行う。さらに、2023年度第3四半期中に本社部門による実地監査を2023年度から仕組み化し、運用状況やガバナンス体制について確認を行うようにするとしている。
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