製造業×品質、転換期を迎えるモノづくりの在り方 特集
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» 2022年06月27日 13時00分 公開

あらゆる領域のデータを融合せよ、デジタル時代の品質管理の在り方とはMONOist 製造業×品質セミナー(1/2 ページ)

ONOist主催のオンラインセミナー「いま製造業に求められる『新たな品質』の在り方とは」(2022年6月15〜16日)でアクセンチュアの志田穣氏が基調講演、アムイの山田浩貢氏が特別講演を行い、デジタルを活用した品質管理の重要性を語った。

[長沢正博,MONOist]

 MONOistは2022年6月15〜16日、オンラインで「品質」をテーマとしたセミナー「いま製造業に求められる『新たな品質』の在り方とは」を開催した。本稿では、1日目に登壇したアクセンチュア インダストリーX本部 マネジメント・ディレクター 志田穣氏の基調講演と、2日目に登壇したアムイ 代表取締役 山田浩貢氏の特別講演についてダイジェストで紹介する。

スペックだけで競争する時代は終焉

アクセンチュアの志田穣氏 アクセンチュア インダストリーX本部 マネジメント・ディレクターの志田穣氏

 アクセンチュアの志田氏が行った基調講演のテーマは「デジタル時代の顧客へ価値訴求できる製品品質の実現」である。同氏は「数十年前であればハードとしていかに優れているかがモノの価値だった。スペックだけで競争する時代は終焉した。今後はますますデジタルテクノロジーが製品価値の源泉になる」と強調した。

 また、製品の設計、開発から生産、販売、アフターサービスまでのように、企業活動を一気通貫でデジタル化し、分析、検証を行う「デジタルツイン」にも触れた。「あらゆる情報をIoT(モノのインターネット)を使って吸い上げ、デジタルの中でシミュレーションをし、フィードバックも行っていくことが重要になる」(志田氏)。

 品質に関しては、検査工程だけでなく設計の段階からライフサイクル全体で品質不良を最小化するプロセスの構築が大切だという。志田氏は「さまざまな業務フローで品質に関わるデータがインプットされているが、それらが散在しているケースが多い。データを一元管理し、リアルタイムで可視化し、分析につなげていく品質のプラットフォームが必要」と訴えた。

スマートデバイスで技能伝承も

 具体的な取り組み例としては、「品質コントロールタワー」「デジタル生産と品質管理」「スマートデバイス活用」「製品IoT」を挙げた。

 品質コントロールタワーとは、いわば品質にまつわる管制塔として、補修部品の供給やメンテナンス、顧客からのフィードバックなどアフターサービス領域のサプライチェーン全体を管理する。これらの領域のデジタル化によって、サービスコストの8〜12%削減や補修部品の欠品率の95%改善といった効果を出した例もあるという。

 デジタル生産と品質管理では、工場内外の連携によってニーズや需要の変動に対して多品種少量、変種変量生産など柔軟に対応し、品質も担保していくモデルを紹介した。

 スマートデバイス活用では、さまざまなデバイスを熟練技術者の技能伝承に利用できるとした。品質保証作業についても、視線配分など熟練者がどのように行っているのかを数値化し、非熟練者のトレーニング材料にしたりすることで、「それ自体が企業に長く蓄えられてきた品質向上のための取り組みを伝承していくために有効になる」(志田氏)。また、ウェアラブル端末を使って、熟練者が遠隔地から複数の現場のサポートを行う事例を取り上げた。オンサイトでサポートするよりも作業効率が向上し、コスト削減や非熟練者の技能向上にもつながる。

 製品IoTでは製造装置に取り付けたセンサーの情報からトラブルを予兆検知し、生産性、稼働率の向上につながった例を示した。

 志田氏は最後に「デジタル技術の進歩によって製品、サービスがもたらす価値、モノづくりの仕組み自体大きく変貌を遂げている。高い次元で品質を保証し、企業価値の向上まで図るという意味では、会社全体でデジタル技術にどう取り組んでいくかを考えていくことが重要だ」と述べた。

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