日本製鉄は、カナダの製鉄用原料炭会社Elk Valley Resourcesの株式を取得する出資契約を締結した。取得金額は約1100億円。カーボンニュートラル推進に向けて、高品質な製鉄用原料炭の長期安定調達を図る。
日本製鉄は2023年2月21日、カナダの製鉄用原料炭会社Elk Valley Resources(EVR)の株式を取得する出資契約を締結したと発表した。取得金額は11億5000万カナダドル(約1100億円)。製鉄プロセスの脱炭素化に必要となる高品質製鉄用原料炭の長期安定調達を目的としている。
世界第2位の高品質製鉄用原料炭サプライヤーであるTeck Resources(Teck)が同社の製鉄用原料炭事業を分離独立し、EVRとして上場することに合わせ、EVRの普通株や優先株、ロイヤルティーをそれぞれ10%取得する。また、カーボンニュートラルの推進に向けて、製鉄用原料炭の中でも高品質な強粘結炭を長期にわたり安定的に調達できるオフテイク権も取得した。
これまでの日本製鉄は、カーボンニュートラルの推進に向けて、高炉水素還元、大型電炉での高級鋼製造、水素による還元鉄製造という3つの革新技術の開発を進めてきた。2008年以降は、既存の高炉で水素を吹き込むことで鉄鉱石を還元させ、CO2排出を抑える高炉水素還元プロセスの開発に取り組んでいる。
この高炉水素還元プロセスでCO2排出削減と銑鉄生産の安定性、効率性を両立させるには、投入するコークスの品質と強度を高める必要がある。そのため、同プロセスを進める上で、コークスの原料となる高品質な製鉄用原料炭の安定確保が必要不可欠となっていた。
今回、原料権益への投資を拡大することで、高品質な製鉄用原料炭の安定調達を図る。同時に、外部環境に左右されにくい連結収益構造への転換を進めるとしている。
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