日本製鉄は2022年1月21日、電炉から熱延工程までを一貫して製造できるタイの鉄鋼企業2社を子会社化することを発表した。2022年2月ころをめどに、株式譲渡の条件が整い次第実施する。
日本製鉄は2022年1月21日、電炉から熱延工程までを一貫して製造できるタイの鉄鋼企業2社を子会社化することを発表した。2022年2月ごろをめどに、株式譲渡の条件が整い次第実施する。
今回、日本製鉄が子会社すると発表したのはG SteelとGJ Steelの2社。両社はタイ国内で唯一電炉から熱延工程までの一貫製造設備を有する企業であり、汎用グレードの熱延製品の製造、販売を手掛ける。G Steelは1995年、GJ Steelは1994年にそれぞれ設立された企業。資本金はG Steelは1446億4400万バーツ(約5012億9559万円)、GJ Steelは244億6800万バーツ(約848億5975万円)。
熱延生産能力は両社合わせて約300万トンで、建材などの汎用用途向けに展開している。電炉での製鉄は、高炉に比べてCO2排出量を抑制できるため、現在世界的に高まる脱炭素要求の流れに合致するとして、鉄鋼業界では注目が高まっている。日本製鉄では電炉による高級鋼製造を推進する拠点に将来なり得るとして、子会社化に向けた取り組みを進めているとしている。
日本製鉄は、G Steelの株式の49.99%とGJ Steelの株式の49.90%を保有する特定目的会社Asia Credit Opportunitiesの株式100%を、Ares傘下のファンドであるKendrickから取得する株式譲渡契約を締結する予定。これによってG SteelとGJ Steelを実質支配し、子会社化する。
日本製鉄は自動車や家電といった、製造業向けの高級鋼の需要に応えるため、日本からタイに半製品を供給し、現地の加工拠点で冷延、メッキなどを施して製品化した上で現地の製造業向けに供給している。一方、タイでは高級鋼以外にも一般的な薄板製品の需要も堅調に成長すると見込まれている。タイにおける汎用品の需要を捕捉する上では、現地における鉄源一貫生産体制の確保が必要であり、これが今回の子会社化の判断につながったとしている。
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