製品評価技術基盤機構は、高齢者の介護ベッドによる事故防止に向け、「介護ベッドの事故防止対策報告書」を公表した。介護ベッド周りのリスク低減策や、事故防止対策をまとめたものとなる。
製品評価技術基盤機構(NITE)は2023年2月10日、高齢者の介護ベッドによる事故防止に向け、「介護ベッドの事故防止対策報告書」を公表した。介護ベッド周りのリスク低減策や事故防止対策をまとめたもので、メーカー、販売業者、レンタル事業者、介護現場などでの活用を想定している。
同報告書は、介護ベッド周りの製品や事故状況などを踏まえ、NITEがリスクアセスメントを実施し、分析結果をまとめた。NITEが収集した2007〜2021年度の介護ベッド周りの事故情報は159件で、そのうち52件は死亡事故だった。事故原因の半数以上は、介護ベッドや壁との間に身体を挟む「挟み込み」だ。次いで、ベッドから車いすに移る際などの「転倒」、寝返りを打った拍子に転落防止対策がないベッドからの「転落」、介護ベッドの部品などに「当たる」が挙げられる。
事故件数は、JIS規格が改正された2009年以降は減少傾向を示しており、近年は横ばいとなっている。最新のJIS規格によって設計、製造された在宅用電動介護ベッドによる死亡事故はほとんどなく、事故リスクの低減には、最新の基準を満たした介護ベッドを選ぶことが重要としている。また、低床ベッド、安全マット、見守りシステムなどの利用により、転落および転倒時のダメージやリスクを低減できる。
今回のリスクアセスメントでは、NITEの事故情報と外部機関の情報を組み合わせて危害シナリオを作成。FTA(Fault Tree Analysis、故障の木解析)によりシナリオ発生頻度を推定した後、R-Map上で見える化する手法を採用した。
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