こうした動きに対し、主要企業はどのような取り組みを進めているのだろうか。日本企業の中でこうした動きに対し積極的な姿勢を見せているのがNTTコミュニケーションズだ。日本企業の多くが情報収集だけを行うケースが多い中、同社はドイツや欧州と密接な連携を取り、GAIA-Xや、Catena-Xの中で主導的な取り組みを示していることが大きな特徴だ。
具体的にNTTコミュニケーションズが取り組むのは、GAIA-Xや、Catena-Xなど標準コネクターでのデータ連携と、それ以外の外部のデータをつなぐ部分の開発だ。今後領域によっては、コネクターが複数生まれることが想定される。また、標準コネクターに準拠しないデータスペースも生まれてくる。それらを一元的につなぐInternational Gatewayを提供し、企業のグローバルでの相互データ連携を支援することを目指している。
この動きはグローバルでデータ連携を大きく推進することにつながることから、ドイツや欧州側からも大きな期待を受けている。今後NTTコミュニケーションズとしては、データ共有を通じた競争力担保や、サステナビリティ実現、規制対応が必須となる社会や事業環境において、データ連携を可能とするソリューションの提供をグローバルで実施する計画だ。
ドイツの大手IT企業であるSAPは、インダストリー4.0をけん引してきた知見を生かし、先述の通りCatena-Xの前身からのコア企業として動きを主導している。Catena-Xでは、「部品トレーサビリティー」「品質マネジメント」「需要/供給マネジメント」「サーキュラーエコノミー」「カーボンデータ交換」のソリューション開発を行っている。
それぞれの概要が下記の通りだ。インダストリー4.0時代において企業を支えるソリューションを開発/提供してきたSAPとして、データ共有時代においても主導することで自社の競争力を高める狙いだ。
大手工作機械メーカーのDMG森精機は、デジタルソリューション子会社として設立しているISTOSがCatena-Xのコア企業として主導的な取り組みを行っている。Catena-Xと、オランダ主導で進むサプライヤーデータの共有基盤であるSmart Connected Supplier Network(SCSN)とのデータ連携を主導する他、Manufacturing as a serviceと呼ばれるソリューションとしてオンデマンド製造や、製造マッチングのソリューション開発を行っている。
データ共有の取り組みとしてCO2排出モニタリングなど、規制に準拠した取り組みからスタートすることも多いが、DMG森精機では、モノづくりの本質である競争領域に踏み込んだ取り組みである点が特徴である。品質、コスト、稼働状況などモノづくり関係のデータ共有については秘匿情報としてデータ共有が進みづらいが、今回のCatena-Xの取り組みにおいてEDCコネクターをはじめ信頼性の高いデータ共有基盤を基にこれらのソリューションの開発が進むことが期待される。
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