「SpaceJet」中止発表における泉澤社長コメント全文製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2023年02月09日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]
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質疑応答への回答

―― 開発中止を決断したのは誰か?

泉澤氏 最終決断をしたのは私(泉澤氏)だ。三菱航空機の関係者などと話し合いを行った後、事業計画を踏まえ、取締役会で議論し、私が決断した。

―― 決断のタイミングはなぜ今なのか?

泉澤氏 2020年10月に(SpaceJet M90の)開発が立ち止まりしてから、市場の精査と解決策の検討を行った。しかし、採算性が見通せず、持続可能性を見いだすために資金と期間が必要だった。2023年4月以降の新体制を見越し、三菱航空機の社員とステークホルダーに態度を示すため、この時期の中止発表となった。

―― 2年の立ち止まり期間を設けた理由について

泉澤氏 2年の立ち止まり期間を設けた理由は、それだけの大きなプロジェクトだったからだ。そんな簡単に結論を出せず、型式証明の文書整理などを行いつつ、突破口を探していた。

―― 型式証明の知見不足ついて

泉澤氏 (型式証明で必要な)経験は大きく分けて2つだと思う。1つはプロセスである。これは型式証明を取得するための仕事の段取りで、当社は型式証明にこれまで取り組んでいなかったので、この点が分からなかった。2つ目は、型式証明の要求に沿ってドキュメントを作成するプロセスで、(作り上げたドキュメントに欧州航空安全局と米国連邦航空局から)多くの指摘を受けたが、指摘に対して代案を出す経験値が足りていなかった。海外の航空機メーカーは、両局の指摘に対する引き出しがあると分かった。解決策として、海外のエキスパートを開発責任者として招き、引き出しは増えたと思うが、最終的な事業化には至らなかった。

―― (SpaceJet)270機の受注を受けた航空会社への補償と責任について

泉澤氏 航空会社との関係に関して、これまでも(開発が)遅れるたびに、担当者との話し合いの場を設け、協議を行ってきた。今回の中止も丁寧に伝える。責任問題は、十数年に及ぶ長いプロジェクトであることを考慮し、各段階で社内で話し合いをしているため、特定の担当者に責任をとらせない。

―― 三菱航空機の扱いと中止の主因である追加の型式証明費用について

泉澤氏 三菱航空機は(SpaceJet)M90の機体を開発するために設立した事業会社である。従って、中止に伴い、(三菱航空機)の精算も含め他の株主と協議する。(追加の型式証明)費用は年間1000億円で数年かかる見込みだった。

―― SpaceJet M90開発でのリソース不足について

泉澤氏 開発の期間と規模の見積もりが甘かった他、人手が足りていなかったのでなく、(型式証明の)経験があるエンジニアが不足していた。

―― アフターマーケットの拡大とCRJについて

泉澤氏 現在、(子会社のMHI RJ アビエーショングループで扱っている)CRJの事業では、運行されている約1200機の航空機を対象に整備サービスの一部を担当している。今後は、整備サービスの幅を広げるだけでなく、修理の規模を拡大し、他社製航空行機の整備も検討していく。

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