三菱重工業が2021年度第2四半期決算と、2021〜2023年度の中期経営計画「2021事業計画(21事計)」の進捗状況を発表。2021年度上期業績はコロナ禍からの回復が進んでおり、21事計についても「一言で言って順調に進捗している」(三菱重工 社長 CEOの泉澤清次氏)という。
三菱重工業(以下、三菱重工)は2021年10月30日、オンラインで会見を開き、2021年度(2022年3月期)第2四半期(7〜9月)の決算と、2021〜2023年度の中期経営計画「2021事業計画(21事計)」の進捗状況を発表した。2021年度上期業績は、主要4セグメントのうちコロナで航空機需要が落ち込んでいる航空・防衛・宇宙セグメントを除き増収で、事業利益は4セグメントとも増益・黒字化を果たすなどコロナ禍からの回復が進んでいる。また、21事計については「一言で言って順調に進捗している」(三菱重工 社長 CEOの泉澤清次氏)とし、世界的に加速している脱炭素の動きに対応するため、2040年のカーボンニュートラル達成も宣言した。
2021年度上期連結業績は、受注高が前年同期比7.9%増の3兆5341億円、売上収益が同0.3%増の1兆6637億円、事業利益が同848億円改善の262億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同691億円改善の120億円となった。前年同期に計上したSpaceJet(旧MRJ)事業減損の影響がなくなり、コロナ禍からの回復による増収効果などを含めて増収増益を確保した。ただし、半導体不足や材料費、輸送費の高騰で110億円のマイナス影響を計上しており、2021年度の年間でも250億円の規模になる見通しだ。
2021年度通期連結業績見通しは、受注高が3兆6000億円、売上収益が3兆7500億円は期初予想から変更はない。事業利益は期初予想比100億円増の1600億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同100億円増の1000億円に見直した。
21事計は「収益力の回復・強化」と「成長領域の開拓」の2軸で進められている。「収益力の回復・強化」では、冷熱・カーエアコン、エンジン、ターボチャージャ、物流機器などの中量産品は、2021年度中にコロナ前の水準まで回復し、物流機器と冷熱はさらなる伸長が見込めことから最終年度となる2023年度の売上高は2019年度比で20%増を達成する勢いにある。
民間航空機エンジンは短距離線向けが回復基調にあり、長崎新工場(長崎県長崎市)の稼働などによる内製力の強化で、2023年度の売上高で2019年度と同水準までの回復を目指す。一方、厳しい状況にあるのが民間航空機構造ティア1で、当初見込みよりコロナ禍からの回復が遅れている。売上高で見ると、2021年度が2019年度比で60%減、2023年度になっても50%減と収益見通しは悪化しており「売上規模に見合うった固定費規模の適正化のみならず、回復期に向けたあらゆる収益向上の取り組みを推進する」(泉澤氏)という。
追加施策では、受注が好調な製鉄機械、機械システム、エンジンなどでてこ入れを行う。コロナ禍や脱炭素の動きによって新たな需要が生まれており、これに機動的に対応するためだ。これらの取り組みに行って、2023年度目標である事業利益率7%の達成を確実にしたい考えである。
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