モデリングツールとしての「Modelica」(その2)1Dモデリングの勘所(14)(1/3 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。前回に引き続き、機械系の1Dモデリングで用いられる業界標準の表現言語「Modelica」について説明する。連載第14回では、オープンソースの「OpenModelica」のインストール手順、OpenModelicaのGUI画面構成について紹介する。続いて、振動モデルを例に、テキストベースでモデリングを行い、シミュレーションを実行し、シミュレーション結果を表示する一連の手順を取り上げる。

» 2022年12月15日 07時00分 公開

 前回に引き続き、機械系の1Dモデリングで用いられる業界標準の表現言語「Modelica」について解説する。

 今回はまず、Modelicaによるモデリング環境として、オープンソースの「OpenModelica」のインストール手順およびOpenModelicaのGUI画面構成について紹介する。続いて、この環境を用いて、振動モデルを例にテキストベースでモデリングを行い、シミュレーションを実行し、シミュレーション結果を表示する一連の手順について説明する。

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OpenModelicaのインストール

 OpenModelicaは、公式Webサイトからダウンロードできる。トップページ上部の「DOWNLOAD」にカーソルを持っていくと、対応するOS環境が表示されるので、本稿では「Windows」を選択する。そうすると、図1に示すWindows環境のダウンロード画面が表示される。

OpenModelicaのダウンロード画面 図1 OpenModelicaのダウンロード画面[クリックで拡大]

 ここでは、ある程度動作が検証されている「Official Release」を使用することにし、青字で表示された「1.19.2(32bit/64bit)」をクリックする(※注1)。なお、この数字はバージョンを表しており、常に最新のものに更新される。

※注1:「1.19.2(32bit/64bit)」は原稿執筆時点でのOfficial Releaseの最新バージョンであるため、記事公開時とバージョンが異なっている可能性がある。

 図2に、OpenModelicaの実行ファイルを示す。32bit版は不安定なので、本稿では64bit版を選択する。次に、図2下段にあるexeファイルをインストールする。ファイルサイズが大きいので時間を要するが気長に待っていただきたい。インストール時の注意点として、OpenModelicaのインストール先および作業フォルダ(通常はユーザーフォルダの「Documents」の下)のフォルダ名に2バイト文字(日本語)が含まれているとエラーになる。

OpenModelicaの実行ファイル 図2 OpenModelicaの実行ファイル[クリックで拡大]

 インストールが完了すると、OpenModelica Connection Editor(以下、OMEdit)のアイコンがPC上に表示される。これでインストールは完了であるが、念のためOMEditのアイコンがPC上に存在するか確認してほしい。

OpenModelicaの基本的な使い方

 OpenModelicaを使用する際の“入り口”であるOMEditのアイコンをクリックすると、ソフトウェアが起動する。図3に初期画面を示す。

OMEdit(OpenModelicaConnectionEditor)の初期画面 図3 OMEdit(OpenModelicaConnectionEditor)の初期画面[クリックで拡大]

 画面左側に「ライブラリブラウザ」が表示される。使用可能なライブラリとその要素は、ここにツリー形式で表示される。代表的なライブラリは「Modelica標準ライブラリ(Modelica Standard Libraries:MSL)」と呼ばれ、ライブラリブラウザの「Modelica」の下に配置される。

 図4に「Mechanics」⇒「Translational」⇒「Components」「Sensors」「Sources」の構成例を示す。MSLの使い方に関しては、次回(その3)で説明する。

ライブラリの構成 図4 ライブラリの構成[クリックで拡大]
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