米国のMonarch Tractorは2022年12月1日(現地時間)、農業用のスマートトラクター「MK-V」の納車を開始したと発表した。米国のアルコール飲料大手のConstellation Brandsに6台を納入した。NVIDIAの「Jetson Xavier NX」を採用してカメラのみを用いて自律走行するトラクターで、有人運転を行うための装備はオプションになるという。
米国のMonarch Tractorは2022年12月1日(現地時間)、農業用のスマートトラクター「MK-V」の納車を開始したと発表した。米国のアルコール飲料大手のConstellation Brandsに6台を納入した。NVIDIAの「Jetson Xavier NX」を採用してカメラのみを用いて自律走行するトラクターで、有人運転を行うための装備はオプションになるという。
MK-Vの製造は鴻海科技集団(Foxconn)に委託。米国オハイオ州の工場でMK-Vとそのバッテリーパックを製造する。
Monarch Tractorは2018年に設立。創業メンバーには、ワイナリーや自動運転スタートアップのZooxの出身者、ロボティクス研究で知られるカーネギーメロン大学の卒業生が含まれており、2年にわたってスマートトラクターを開発してきた。農業機械メーカーや販売店の他、武蔵精密工業も出資している。
MK-Vは、自動化だけでなく電動化や作物のデータ分析も取り入れることで、農業のCO2排出削減や現場の安全性向上、効率化、利益率の向上などに貢献するとしている。商用利用に向けたトライアルでは、ディーゼルエンジンのトラクターと比較して、年間2600ドル(約35万円)以上の経費削減を達成した。また、データ活用により、除草剤のコストや、除草剤の使用に伴う土壌のダメージも軽減する。Monarch Tractorは企業だけでなく家族経営の農場にもスマートトラクターを納入予定だ。
自律走行での周辺環境のセンシングには、2台の3Dカメラと6台の標準カメラを使う。GPSは使用していない。Jetson Xavier NXの処理によって、農地の畝(うね)を安全に横断するだけでなく、農薬の精密散布など農作業に対応した複数のモデルを実行する。充電量が少ないときや、進路を妨害する未確認物体があるときにはアラートを送信する。人間が近くにいるときに農薬の散布を停止する機能も備えている。作物の生育状況や健康状態の把握、長期的な収穫量の予測なども行う。
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