自動精緻解体によるCar to Carを目指し6社が協議会を設立リサイクルニュース

デンソー、東レ、野村総合研究所、ホンダ、マテック、リバーの6社は、使用済み自動車の自動精緻解体によるCar to Carの実装化を目指し、「BlueRebirth協議会」を設立した。

» 2025年07月24日 16時00分 公開
[MONOist]

 デンソー、東レ、野村総合研究所、ホンダ、マテック、リバーの6社は2025年6月30日、使用済み自動車(ELV、End-of-Life Vehicles)の自動精緻解体による「Car to Car」の実装化を目指し、動静脈が一体化したバリューチェーンを構築するために「BlueRebirth(ブルーリバース)協議会」を設立したと発表した。

 Car to Carは、全車両の構成部品を原材料に戻し、新たな車両の製造へと循環する取り組みを示す。BlueRebirth協議会は、2035年を目標に自動車リサイクル産業を自動車産業における資源循環型の新たなバリューチェーンの一端を担う「再生原料製造業」へと発展させ、Car to Carの実装化を目指す。具体的な取り組みとしては、動静脈が一体化されたバリューチェーンの構築を目指し、ELVの自動精緻解体を出発点に、参画企業や研究機関と協議や調査を実施し、技術開発や実証実験を重ねるとともに、関係企業や団体への提言も行っていく。

キャプション BlueRebirth協議会が目指す2035年の姿[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 自動精緻解体は、AIやセンサー技術を活用し、変形した部品に対しても最適な経路でロボットが動作する高度に知能化されたシステムとなる。これにより、これまでの手法では難しかった再生材の質と量を確保できるようになり、人手不足の根本的な解決にも寄与する。また、出来上がった再生原料は、デジタルプラットフォーム上に素性や環境負荷情報を保存し、動静脈で共有することで、信頼性の高い再生材の安定供給が可能となる。

 近頃、自動車産業では、再生材の大幅な利用拡大による天然資源の消費低減が求められている。しかし、世界では主にELVを破砕した後に材料を選定する手法が用いられており、高純度の再生原料の確保が非常に困難な状況だ。また、これまで動静脈の連携が不十分であったため、高品質かつ十分な生産量が要求される自動車の材料として、再生材を活用する取り組みが進んでいなかった。加えて、自動車リサイクル産業では、自動化・デジタル化の進展や人手確保が急務になっている。

 動静脈は、経済活動を動物の血液循環にたとえた呼称。資源を加工して製品を生産する産業を「動脈産業」、使用済み製品を回収し、再販売や再加工を通じて再び社会に流通させる産業を「静脈産業」と呼ぶ。

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