「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

ホンダが「協調AIマイクロモビリティ」、2030年の安全で自由な移動を描く自動運転技術(1/2 ページ)

ホンダは2022年11月2日、人と分かり合うことを目指した協調人工知能(AI)「Honda CI(Cooperative Intelligence))と、これを搭載するマイクロモビリティを発表した。

» 2022年11月04日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ホンダは2022年11月2日、人と分かり合うことを目指した協調人工知能(AI)「Honda CI(Cooperative Intelligence)」と、これを搭載するマイクロモビリティを発表した。高精度地図に頼らずにカメラで周辺環境を認識しながら自動走行を行うとともに、言葉や身振りを理解してモビリティが自ら考え提案できるコミュニケーション能力を持たせる。2030年ごろの実用化に向けて研究開発を進めていく。

実証実験で使用する「CiKoMa 4人乗りモデル(右)」「WaPOCHI(左)」[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 茨城県常総市内で、CIを搭載したマイクロモビリティの技術実証実験を行う。2022年11月から「水海道あすなろの里」で、搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa」(4人乗りモデル)を走らせる。当初はドライバーが乗車し運転支援システムとしてスタートするが、地図レス協調運転技術を進化させ、自動走行に移行していく計画だ。

 2023年春からは「アグリサイエンスバレー」で、4人乗りのCiKoMaと、歩く人に追従する「WaPOCHI」を使った実証実験を始める。地図レス協調運転技術に加えて、意図理解・コミュニケーション技術を用い、自動走行やユーザーへの追従走行を検証する。CiKoMaは安全監視員が同乗する形で実証実験を始めるが、スタッフが同乗しない無人自動走行の実現を目指す。

 ホンダは今後、少子高齢化や“アフターコロナ”の社会において、人やモノがマイクロモビリティを活用して自由に移動するニーズが高まると見込む。マイクロモビリティ本体だけでなく、高精度地図に頼らない自動走行や、使う人とのコミュニケーションなど協調AIも併せて開発することで、安全でストレスのない自由な移動の実現を目指す。

地図レス協調運転技術と意図理解・コミュニケーション技術

 地図レス協調運転技術は、カメラからの情報だけを基に、交差点やカーブなどの道路環境、歩行者、車両などを認識し、走行可能な領域をリアルタイムに理解/決定する。高精度地図は使用しない。公道だけでなく、区画線や縁石がないオープンスペースであっても、障害物までの距離や物体の構造を瞬時に立体化する。こうして認識した走行環境を考慮して、行動計画を立てる。リアルタイムのルート最適化アルゴリズムによって、スムーズに安心して移動できるルートを決定する。

カメラベースの地図レス協調運転技術を搭載するCiKoMaのインテリア(左)。外界認識用のカメラ(中央)。ジョイスティックにより、乗員が操作できる(右)[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 意図理解・コミュニケーション技術は、ユーザーとモビリティが互いに見えているものをキャッチボールのように言葉で伝え合い、人間同士のようなやりとりで移動する位置を理解する。また、対話によってユーザーを特定する機能も持つ。さらに、ルールやマナー、危険に関する人間の経験を登録することで、ネガティブな状況を避けるように乗員に対して交渉、提案することもできる。

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