ハンズオフの普及拡大と一般道の運転支援導入へ、ホンダのADASの次世代技術安全システム

ホンダは2022年12月1日、運転支援システム「ホンダセンシング」の次世代技術を発表した。

» 2022年12月01日 08時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ホンダは2022年12月1日、運転支援システム「ホンダセンシング」の次世代技術を発表した。

 車両の周囲全方位を検知範囲とする「ホンダセンシング360」の新機能は2024年からグローバルで順次展開していく。ホンダの運転支援システムのフラグシップ「ホンダセンシングエリート」の新技術は2020年代半ばから適用を開始する。

ホンダセンシングの次世代技術を搭載した開発車両[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 さらに、2030年に向けて全世界でホンダの二輪車と四輪車が関与する交通事故死者数を半減することを目指す。これに向けて、二輪車検知機能付きのホンダセンシングを、2030年までに全世界で四輪車全車種に搭載する。また、ホンダンセンシング360を先進国で四輪車全車種に適用することを目指す。

ホンダセンシング360の次世代技術

 現在展開しているホンダセンシングの装着率は、日米で99%、グローバルで86%となっている。ホンダセンシング搭載車の累計販売台数は1400万台に上る。

 ホンダは2021年に、レベル3の自動運転に適合するトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を搭載したホンダセンシングエリートを発売。さらに、ホンダセンシングエリートの研究開発で培われた知見を生かしたホンダセンシング360の展開を2022年から中国で開始した。それまでのホンダセンシングは前方と後方、後側方が検知範囲だったが、車両の周囲360度に検知範囲を広げた。

 ホンダセンシング360の新機能は、ハンズオフ対応の車線内運転支援や車線変更支援、ドライバーの異常時に周囲に知らせながら安全に同一車線内で停止できるようにする異常時対応システム、降車時の車両接近警報、ドライバーの状態や前方のリスクに合わせた回避支援などがある。

 状態や状況に合わせた回避支援では、ドライバーの注意力低下時や漫然運転時に、歩行者、自転車、停車中のクルマや前走車などに衝突の可能性がある場合、減速して注意喚起するとともに、車線をはみ出さないようにステアリング操作支援を行う。歩行者、自転車、停車中のクルマなどに衝突する恐れがあり、同じ車線内に十分な回避スペースがあるとシステムが判断した場合には、車線内で減速し続けながら衝突回避を支援する。

ドライバーモニタリングシステム[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 ハンズオフ対応の車線内運転支援では、ドライバーがステアリングから手を離しても車速や車線内の走行を維持する。先行車がいない場合は、設定された車速を保ちながら車線中央に沿うように走行し、カーブでは曲率を前もって読み取り、曲率に応じた減速でスムーズなコーナリングを支援する。先行車がいる場合は適切な車間距離を保ちながら追従する。車線変更支援機能では、一定の条件下でシステムが状況を判断して、自ら車線変更や追い越しなどの操作を支援する。システムが車速の遅い先行車を検知すると、ドライバーに告知した上で、追い越しや車線復帰を行う。

車線変更支援[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 ドライバー異常時対応システムでは、システムからの操作要求に対してドライバーの反応が無い場合に、同一車線で減速・停車を支援する。ドライバーがシステムからの操作要求に応じないと、警告音を強めてドライバーに操作要求に応じるよう促す。それでも、ドライバーが操作要求に応じないと、ハザードランプとホーンで周辺車両への注意喚起を行いながら、減速・停車に移行する。

 降車時車両接近警報は、乗員が降車のために開けたドアが、自車側方を通過する車両と衝突するおそれがあるときは、インジケーターを点滅させると同時に警報音で注意を喚起し、ドアを開けることをとどまるよう促す。

降車時車両接近警報のイメージ[クリックで拡大] 出所:ホンダ

ホンダセンシングエリートの次世代技術

 ホンダセンシングエリートの新技術は2020年代半ばから適用を開始する。高速道路だけでなく、一般道も含めた運転支援システムとなる。具体的には、リスク予測により事故を未然に回避する技術、一般道でのアダプティブクルーズコントロール(ACC)や車線維持支援システム、幹線道路渋滞時におけるハンズオフ機能の導入を予定している。

 また、戸建てや集合住宅などの自宅駐車場における自動出入庫、外出先での呼び出しや乗り捨てが可能なオートバレーパーキングの実現も目指す。合流や分岐のシーンでの支援機能も追加する他、高速道路本線全域でのレベル3の自動運転の実現にも取り組む。

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