矢野経済研究所は2022年11月9日、電動パワーステアリングの市場調査の結果を発表した。乗用車と車両総重量7トン以下の小型商用車を対象としており、2035年のグローバル市場は数量ベースで9865万台(2021年比52.4%増)と見込む。
矢野経済研究所は2022年11月9日、電動パワーステアリングの市場調査の結果を発表した。
乗用車と車両総重量7トン以下の小型商用車を対象としており、2035年のグローバル市場は数量ベースで9865万台(2021年比52.4%増)と見込む。2025年ごろからはステアバイワイヤの本格的な普及が始まり、2035年に2036万台まで拡大する予想だ。
足元の2021年の電動パワーステアリングのグローバル市場は6472万台だった。同年のステアリング市場のうち電動化率は85.5%。北米のピックアップトラックでの電動パワーステアリング採用や、中国の地場の自動車メーカーでの搭載拡大が寄与した。
今後、油圧パワーステアリングが多い小型商用車や、インド、ASEAN、アフリカなど新興国市場向けの車両で電動パワーステアリングの採用拡大が進むことで、2035年までに電動化率はさらに上昇すると見込まれる。
2025年以降は、レベル3以上の自動運転システムの搭載や、ブレーキとサスペンションなどとの協調制御による安全性向上を目的にステアバイワイヤの採用が進むという。車両としての協調制御には操舵感の改善や制動距離短縮などのメリットがある。各国のNCAP(新車アセスメント)に新たな要件が年々追加されることも、ステアバイワイヤの採用拡大を後押しするとしている。
ステアバイワイヤには冗長性確保のための電源2系統化や、システムコストの低減などが求められる。キャパシターの活用や既存部品の流用、小型車向けの廉価版の開発などの対応が進むとみられる。
電動パワーステアリングをタイプ別にみると、コラムタイプは新興国での普及が見込まれる。ただ、自動運転やADAS(先進運転支援システム)などではラックタイプなど下流アシストタイプが適していることから、コラムタイプの採用は2035年にかけて減少すると見込む。
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