アクセルペダルの踏み込み具合とスロットルバルブの開度を連携させるドライブバイワイヤ(Drive-By-Wire、DBW)システム。自動車にとってDBWが必須のシステムとなったのは、自動変速機の普及が背景にある。
電子制御が当たり前になった最近の自動車では、アクセルペダルの踏み込み具合とスロットルバルブの開度を連携させるドライブバイワイヤ(Drive-By-Wire、DBW)システムを欠かすことができません。
このDBWシステムを理解するためには、まず吸気系統に関する基本理解と、従来のケーブル式スロットルバルブ機構の基礎知識が必要になります。DBWシステムについて解説する前に、これらの基礎知識から説明しましょう。
ガソリンエンジンの出力調整は混合気量の増減によって行われています。その混合気を作り出す基準になっているのは「吸入空気量(吸気量)」の調整です。
ガソリンを効率よく燃やすための「ガソリン:空気(吸気量)」の混合比率というのはある程度決まっており、一般的に「1:15(14.7)」が理想的な混合比率(理論空燃比)と言われています。
燃費性能が必要以上に求められるようになった最近では、この理論空燃比をあえて逸脱させた希薄混合比で燃焼を行っている場合もあります。しかし、まずは基本である理論空燃比をターゲットにする場合について説明していきます。
先述したように理論空燃比は1:15です。どちらか片方の大きさが決まれば必然的にもう片方が決まります。つまり吸気量さえ計測できれば、その吸気量に応じたガソリン量を計算することが可能になるわけですね。
逆に、ガソリン量が先に決まり、それに応じた吸気量を計算する……という考え方も成り立ちそうですが、これはできません。なぜなら、自動車側が、
「今からガソリンを50cc噴射するから、750ccの空気を吸ってくれ!」
という指令を出したとしても、750ccだけ機械的に吸気することがまず困難です。仮に、次の噴射タイミングで噴射量を減少させられたとしても、ピストン運動の慣性力をリニアに抑えるすべがないので、理論空燃比を実現することは不可能です(他にもさまざまな要因がありますが、本題とは無関係ですので割愛します)。
つまり混合気は、吸入空気量をセンサーで検知した値から算出し、その計算値を基に基本噴射量を決定して噴射することで作り出されているのです。
吸入空気量を計測するセンサーにはさまざまな種類が存在しています。直接空気量を計量するエアフローメーターを用いるマスフロー方式と、吸入空気量によって変化するインテークマニホールド負圧を吸気圧力(MAP)センサーで計測し、エンジン回転数を合わせて吸入空気量を算出するスピードデンシティ方式が代表的です。
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