消費者がCO2排出量データを見る仕組みも容易に作れる。製品にQRコードを貼り付けておくだけで、それをスマートフォンなどで読み取った人が簡単にデータにアクセスすることができるようになる。当然、公開するデータの範囲は企業側が自由に設定できる。
なお、固有IDの割り当てという特徴が力を発揮するのは、CO2計測に限った話ではない。そもそもatma.ioはそもそも製品のトレーサビリティー確保に強い力を発揮するプラットフォームである。最近では食品製造業などで、食の安全性や産地偽装などの問題を不安視する声があるが、こうした問題に対処するための手段として使える。
この他にも化粧品業界では、製造元が意図しない形で製品が出回ってしまうグレーマーケットの存在が問題視されている。これに対して三井氏は、「個品とそれを収めた輸送用の箱にRFIDをそれぞれ貼り付けてひも付けることで、流通の過程で抜き出された製品を特定できる」と説明する。正常でない流通経路を取る商品があれば、AI(人工知能)が検知して管理者に通知するシステムも搭載されているという。
エイブリィ・デニソン・スマートラックはRFIDの扱いにおいて多くの知見を有しているとした上で、三井氏は「製品のどのような位置にどのように貼り付けるのが最適かまで提案できる点が強みだ」と語った。ただ、今後CO2排出量の算定にRFIDを採用する動きが広まるには課題もありそうだ。
「自動車業界では既にRFIDが使われ始めており、部品がどこから出荷され、どの車体に取り付けたかまでサプライチェーン上で把握できるようにしている企業もある。こうした施策を『やらねばならない』という雰囲気も感じるのだが、実際に国内全体で広まるには時間はかかるかもしれない。国内で15年ほど前にRFIDの活用が流行した際には、当時の読み取り技術も、またそれを活用するための知見もまだまだ未成熟で、導入を断念した経験を持つ企業もある。当社のRFID技術に対する理解を得ながら、徐々に活用を浸透させていきたい」(三井氏)
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