スマートシューズのその先へ、全身をかなり手軽に解析できる「ORPHE ANALYTICS」小寺信良が見た革新製品の舞台裏(22)(3/4 ページ)

» 2022年10月31日 08時00分 公開
[小寺信良MONOist]

異なるデータの時間を同期させる

―― 通信でリアルタイムデータを双方向でガンガン流していくという感じですかね。

坂元 そうですね。今回はORPHE COREから出てくるデータをスマホ経由で扱うところに、当社のリアルタイムストリーミング技術を提供することで、新しい遠隔サービスを実現できるじゃないか、ということで取り組みをさせていただきました。

 これまで当社のクライアントさんは、ほとんど大企業の自動車メーカーさんとか、建設機械のメーカーさんばかりでした。今回、こうやってベンチャー同士でコラボレーションしてサービスをロールアウトするというのは、初めてのチャレンジということになります。

―― 今回のソリューションでポイントになるのは、ORPHE COREのデータと、それ以外のセンサーから来るデータをどうやって同期させて、解析AIに食わせられるのかというところかと思うんですが。

坂元 そこがいわゆる「データフュージョン」といわれるところです。センサーからのデータや制御装置のデータを1つのタイムラインに乗っけて、それをストリーミングするところが重要になります。一般的にはいろいろとデータを取ると、タイムスタンプがあるものないもの、それがバラバラのタイミングで来ます。これをひとまずクラウドに上げて解析で同期させようとすると、そっから数カ月かかるといったことは、よく起きてしまうんですね。

 私どものシステムは、ローカルで時間をリアルタイムで合わせながら、いつでもどこでも時間が合ったデータをストリーミングして二次活用できる点にメリットがあります。今後はデータソースとしてはORPHE COREやビデオの他に、例えばApple Watchのようにさまざまなウェアラブルセンサーと一緒に使う中で、すごく有用な機能を提供していけると思っています。

―― とはいえ、そうしてセンサーが積み重なって、しかもリアルタイム伝送となると、かなり大きなデータ量になると思いますが。

坂元 実は、このストリーミングのプロトコル開発まで当社で手掛けているんです。確かに、タイムスタンプを埋め込んで丸ごとストリーミングすると、それだけで膨大な量になってしまいます。ただ、当社はそこを差分の時間だけをデータに埋め込んでストリーミングする方式にしていて、ここが結構売りでもあったりするんです。

研究開発、そしてメディカル領域へ

―― 研究領域で利用されているということですが、どういうところで使われているんでしょうか。

大塚 いくつかの医療機関で導入されていますが、より多いのが大学の研究室です。他にもメーカーさんだと、資生堂さんの「みらい開発研究所」で美しい歩きを研究、指導してトータルビューティーを実現するためのツールとして使っていただいています。

「ORPHE ANALYTICS」の動作デモ。歩き方のリアルタイムデータ。

―― デジタルヘルスとか、そのあたりの領域っていうのはいかがですかね。

大塚 デジタルヘルスの領域は、長期的な目線で今取り組んでいます。当社と大学の研究室で2021年までは共同研究を行い、2022年からは共同研究講座という、より格が上がった取り組みを行っています。具体的にはスマートシューズを使ったデジタルヘルス、もっと言うとプログラム医療機器を作っていくという講座にしていきたいと考えていますが、それにはエビデンスをしっかり作っていかないといけません。今後も大学としっかり連携して行きたいと思っています。

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