―― では早速ですが、研究用として実際にどういうデータが取れるのか、デモを拝見させてください。
大塚 こちらがアプリの画面ですけれども、センサーを接続しますと、動きに合わせてリアルタイムで、状態がグラフ化されていく形になります。さらにビデオをオンにすると、iPhoneのカメラと連動するようになりまして、計測中に自動解析が行われて姿勢推定のボーン(骨格モデル)が提示されます。
歩いたときの速度や、足が地面に着いた時の角度が詳細に解析されていきます。当然、モーションキャプチャーより精度が高いということはありませんが、ある程度のデータがこれだけ手軽に取れることに、非常に価値があると思います。
あとは姿勢ですね。姿勢はカメラデータから分析して推定します。15フレームの解像度になるのですが、歩いてる最中の腕の角度や、膝や他の関節の角度などが出ます。
こんな具合に、当社のセンサーから得られるデータだけでも十分価値はありますが、他の情報も組み合わせることで、研究での活用の幅が広がっていくのではと考えています。Apple Watchの心拍データも一緒に取れますし、今後開発が進めばインソール型の圧力センサーの情報も取るなど、本当にリッチな情報を素早く収集できるシステムになるかと。
―― 複数のセンサー情報をまとめる際には、基準となる時間軸が必要だと思うんですよね。ただ、それぞれがバラバラにセンシングしているものを、何を基準に同期すべきなのか……。
大塚 そのあたりにアプトポッドさんと協業した最大の理由があります。
坂元淳一氏(以下、坂元氏) はい。このプロジェクトでアプトポッドが提供してるのが、「intdash」という、いわゆるIoTのプラットフォームです。これは時系列データのストリーミングに特化していまして、特に産業関連のデータ収集や中継、あるいはリアルタイムでの制御を、インターネット越しで実行できるものです。
例えば自動車分野だと、研究開発においては必ず自動車のデータを取りながら、ループサイクルを回していくことになります。そこでデータロガーを活用していたところが、基本的にリモートで対応可能になると。グローバルの研究所で取得したデータをシェアできるので、走行試験データなども集めやすくなる。他にも建設現場で機器の遠隔制御を行う際に、高粒度の制御データを回しながら、コントローラーで建設機器を動かすといったイメージになります。
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