56GbpsのPAM4信号に対応したトランシーバーを開発組み込み開発ニュース

キオクシアは、新エネルギー・産業技術総合開発機構が進める「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、56GbpsのPAM4信号を送受信できるトランシーバーを開発した。

» 2022年10月18日 14時00分 公開
[MONOist]

 キオクシアは2022年10月4日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、56GbpsのPAM4(4値のデータ転送方式)信号を送受信できるトランシーバーを開発したと発表した。

キャプション 今回試作したトランシーバーのチップ写真(16nm FinFETを採用) 出所:キオクシア

 従来のCDR(クロックデータリカバリー)では、PAM4信号の特定の遷移点のみを受信データと誤認して、クロック信号が誤った位置にロックしてしまい、データを正しく受信できない状況が生じていた。

キャプション ロック位置の違いによるデータ受信成否 出所:キオクシア

 キオクシアとNEDOは、受信信号からクロック信号のロック位置を検出する際、コンパレーターをNRZ(非ゼロ復帰方式)モードで動作させることで、誤ロックを回避できることを発見した。

 これを基に、コンパレーターをまずNRZモードで動作させて、クロック信号を正しい位置でロックさせた後にPAM4モードへ変更することで、PAM4信号を正しく受信できるようになった。

キャプション 誤ロックを回避するためのシーケンス 出所:キオクシア

 56GbpsのPAM4信号を送受信できるトランシーバーを試作し、性能評価を実施したところ、56Gbpsでの動作と誤ロック回避技術の有効性を確認できた。

キャプション 誤ロック回避技術の有効性を確認した実験結果 出所:キオクシア

 キオクシアは今後、NEDOの事業として研究開発を進めているメモリディジーチェーン技術にこの成果を用いて、消費電力40W以下、容量5TB以上、帯域64Gbps以上のメモリモジュール開発を目指す。

⇒その他の「組み込み開発ニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.