ローランド ディー.ジー.は、愛司凱科技股份有限公司、景徳鎮昌南新区中熙投資合伙企業、AGCセラミックスとともに、バインダージェット方式3Dプリンタ事業に関する合弁会社「微瓷科技(江西)有限公司」を中国・景徳鎮市に設立した。
ローランド ディー.ジー.(ローランドDG)は2022年9月16日、愛司凱科技(AMSKY)、景徳鎮昌南新区中熙投資パートナー企業(中熙投資公司)、AGCセラミックス(AGCC)とともに、バインダージェット方式3Dプリンタ事業に関する合弁会社「微瓷科技(江西)有限公司」を中国・景徳鎮市に設立したことを発表した(事業開始時期は2022年8月)。AMSKYおよびAGCCとのパートナーシップにより、中国国内の新規市場を開拓し、保有技術の活用用途の拡大を図る。
合弁会社では、セラミックス材料に対応したバインダージェット方式3Dプリンタ、セラミックス材料、その他補助材料の販売、受託造形サービスの提供、教育/体験センターの運営などを行う。
景徳鎮市は、中国江西省北部に位置する世界有数の窯業/陶芸の生産地として知られている。現在、複雑繊細な形状の陶芸品の多くは職人による伝統的手工業で制作されており、量産化が困難だといわれている他、伝統職人技能の習得に膨大な時間を要することから、後継者不足の問題も深刻化している。このような課題に直面する陶器づくりに、3Dプリンティング技術を活用することで、課題解決を図るとともに、豊かな社会の実現に貢献するとしている。
陶器づくりにセラミックス材料に対応したバインダージェット方式3Dプリンタを活用することで、精緻な中抜きの3D造形物などをセラミックス材料を用いて出力できる他、セラミックス3D造形体の表面に釉薬(ゆうやく)を塗ることで色彩表現も施せる。
バインダージェット方式3Dプリンタの適用範囲は陶器づくりだけでなく、砂型/鋳型などへの適用や、建築/デザイン/アートといったクリエイティブな分野にも展開できる可能性があるという。
合弁会社の資本金は285万米ドルで、出資比率はAMSKYが51%、中熙投資公司が24%、AGCCが20%、ローランドDGが5%となっている。セラミックス材料に対応したバインダージェット方式3Dプリンタを主軸とした製品/サービス展開を中国で開始し、2023年以降、既存のローランドDGの販路を通じてグローバル展開を行う予定。2026年に約3億900万元(日本円で約63.6億円/1元=20.59円で換算)の売り上げを見込む。
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