ソディックは大型サイズの安定造形を実現した金属3Dプリンタ「LPM450」を開発、発売したと発表した。
ソディックは2022年9月23日、大型サイズの安定造形を実現した金属3Dプリンタ「LPM450」を開発し、同日発売したと発表した。価格はデュアルレーザモデルが1億2000万円、クワットレーザモデルが1億5000万円(いずれも税別)からとなっている。
LPM450の開発にあたっては「造形サイズ拡張」「多品種粉末への造形対応」「使いやすさ向上」をテーマにした。
独自の新技術SRT(Stress Relief Technology)工法と新開発の粉末材料SVM(Sodick Versatile steel for Mold)により、大型サイズの安定造形を可能にした。SRT工法は積層中の造形物内部に発生する応力を定期的に解放し、造形後の応力歪を抑制することで、これまでのダイカスト金型向け粉末の課題だったクラックの発生を防ぐ。耐ヒートチェック性、耐溶損性に優れ、ハイブリッド造形が可能なSVMとSRT工法を組み合わせることで、400×300×50の大型造形に成功した。
レーザー加工時に発生する金属蒸気の集積物(ヒューム)を除去し、清掃するヒュームコレクタを開発し、稼働中の集積物の回収能力を大幅に向上、集積物自体をたまりにくくすることで、従来機に比べメンテナンス頻度を約2分の1と大幅に削減した。
また、機械構造自体の最適化により作業の集約化と簡素化を図り、メンテナンスに要する時間を大幅に短縮した。さらにMRS(Material Recycle System)採用により、材料交換は粉末ごとのMRSを付け替えるだけで2時間以内に完了でき、複数の粉末による運用も1台の設備で対応可能にするなど、稼働率を向上させている。
アタッチメント方式でさまざまな金属粉末の試験造形が可能な「Material Trial Unit A/B(オプション)」なら30分程度で材料交換でき、少量の材料で試験造形が可能となる。
「造形モニタリング(オプション)」機能を搭載し、造形物状態や各部の稼働状態を高度なセンシング技術で常時監視する。各データはNC画面でグラフ化し、ロギングやエラー閾値(注意、警告)管理をすることで造形異常の原因となる各要因をモニタリングし、造形不良を未然に防止する。造形状態の履歴を残すことも可能となっている。
デュアルレーザの標準仕様化と最適気流構造により長時間の安定造形が可能となり、平均的速度向上と高品質造形の両立を実現した。さらに4つのレーザーユニットを持つ「クワットレーザー(オプション)」を搭載することにより、従来比約4倍の造形速度を達成、かつ標準仕様同等の品質と安定造形が可能となった。
基準面加工(MILL-FLAT)には必要なトルク出力を保持した小型主軸を標準搭載。正確な基準面を設けることで、二次加工時に正確な位置決めができ、ベースプレートからの切り離し加工や仕上げ加工の際の段取り短縮と効率化を実現、さらに小型主軸搭載により基準面加工時間を大幅に短縮した。
最大造形物寸法は450×450×450mmとなっている。対応粉末はULTRA 21(マルエージング鋼)、OPM HYPER 1(コバルト free マルエージング鋼)、SUPERSTAR 21(SUS420J2)、SVM(金型向けオリジナル特殊鋼)、OPM STAINLESS 316、OPM STAINLESS 630、CT PowderRange Ti64 F(64チタン)、CT PowderRange 718 F(インコネル718)、CT PowderRange CCM F(コバルトクロム)、CT PowderRange ALSi10Mg F(アルミニウム)で、その他他社粉末も対応中としている。
LPM450は「JIMTOF 2022」(11月8〜13日、東京ビッグサイト)へ出展予定となっている。
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