アクティブなシニアの新たな移動手段に、WHILLが歩道を走れる“スクーター”発表電動化(2/2 ページ)

» 2022年09月16日 13時00分 公開
[長沢正博MONOist]
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免許返納後のシニアの新たな移動手段に

 総務省の発表では、日本の65歳以上の人口は2021年9月時点で約3640万人いる。国土交通省が70都市で行った全国都市交通特性調査(2015年)によると、無理なく休まずに歩ける距離は65歳以上において100mまでが10%、300mまでが6%、500mまでが10%などとなっている。WHILLではこれらを基に、「歩きづらさを感じているシニア」は1000万人いるとみる。

 WHILLはこれまでに次世代型電動車いす「Model C2」、折り畳み式電動車いす「Model C2」を発売しているが、「Model C2、Model Fは100mまで歩ける方がボリュームゾーン。Model Sの追加によって500mまで歩ける方をコアなお客さまとして、700万人のユーザーをターゲットにしたい」(赤間氏)。

歩きづらさを感じているシニアを1000万人と見込む(左)と、Model Sがターゲットにする層(右)[クリックして拡大]出所:WHILL

 2022年5月には、一定の違反歴がある75歳以上の免許保持者は実車による運転技能検査に合格しないと免許が更新できない改正道路交通法が施行された。施行の前後でWHILLへの試乗予約件数は3倍に増加したという。また近年、運転免許返納者は年間60万人前後で推移しており、免許返納後の70〜80代の男女にオンラインで行ったWHILLの調査によると、3人に1人が「クルマの代わりになる移動手段が少ないと感じる」と回答しているという。

「イメージが若々しく歩道が走れて安心感が高い商品がアクティブなシニアに求められていると考え、WHILL MODEL Sを企画した。電動アシスト自転車よりも安定して走行でき、シニアカーよりなじみやすいデザインという新しいカテゴリーの商品と考えている」(赤間氏)

「歩道や施設内など近距離移動に関するイノベーションは他の領域に比べてまだ少ない。一方で、先進国を中心に高齢化が進行して必要とする人は多い。歩行が困難な方が外出した時に楽しくスマートに過ごせるサービス、プロダクトを展開していきたい」(杉江氏)

既存のシニア向け移動手段が選ばれない理由(左)と、Model Sで創出する新しいカテゴリー(右)[クリックして拡大]出所:WHILL
WHILLが2022年9月13日に発表したハンドル型電動車いす「Model S」が実際に会見場で走行する姿[クリックで再生]

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