アクティブなシニアの新たな移動手段に、WHILLが歩道を走れる“スクーター”発表電動化(1/2 ページ)

 WHILLは2022年9月13日、東京都内で記者会見を開き、ハンドル型電動車いす「Model S」の先行予約を同日より開始したと発表した。価格(非課税)は21万8000円から。納車は同年11月ごろを予定している。

» 2022年09月16日 13時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 WHILLは2022年9月13日、東京都内で記者会見を開き、ハンドル型電動車いす「Model S」の先行予約の受け付けを同日より開始したと発表した。価格(非課税)は21万8000円から。納入は同年11月ごろを予定している。

日常に溶け込むデザインでアクティブ層に訴求

WHILL 代表取締役社長 兼 CEOの杉江理氏 「MODEL S」を発表するWHILL 代表取締役社長 兼 CEOの杉江理氏

 従来のシニアカーとはデザイン性で差別化を図る。歩道を走れる近距離モビリティとして、日常になじみやすいシンプルなデザインでアクティブなシニア層に訴求する。

 免許返納後のシニア層のユーザーを想定し、インタフェースは自動車やバイクを意識してデザインした。バッテリーの残量はガソリンメーターのような表示になっており、速度調整のダイヤルもスピードメーターを模した構造になっている。電源もキーシリンダーのように、鍵を指して右に回すと入る仕組みだ。表示に使われる文字はアルファベットで、あえて他社製品のように漢字を使っていない。「漢字は分かりやすい一方で、老け込んだという印象を持ってしまう、という声も寄せられた」(WHILL 事業開発・戦略室の赤間礼氏)。

何げなく日常に溶け込むデザイン 何げなく日常に溶け込むデザインを目指した[クリックして拡大]

 カラーは4色を用意しているが、ラピスブルー、シルキーブロンズ、ガーネットレッド、アイコニックホワイトといずれも自動車のカラーを意識した名前になっている。「色を決める時間を楽しんでもらいたい。ワクワクしながら選んでもらいたい」(赤間氏)。

 重さはバッテリー込みで63kg。満充電からの走行距離は33kmで、最高時速は前進6km、後進2kmとなっている。バッテリーは24Vの鉛電池、充電時間は標準充電で9時間40分、急速充電で6時間40分。バッテリー(約15kg)は取り外しでき、家の中でも充電できる。前方に付くバスケットの容量は12l(リットル)、耐荷重は4kgで、登坂能力は最大10度、段差乗り越えは7.5cmまで可能だ。生産は海外の提携工場で行う。

 Model S独自のサービスとして「WHILL Premium Care」を展開する。既存の保険、ロードサービス、メディカルアシストがセットになった「WHILL Smart Care」と、スマートフォンのアプリケーションを通して機体の場所や状態、走行ルードなどの情報を共有できる「WHILL Family App」を組み合わせたサービスが年間2万6400円で利用できる。同サービスに加入するには、IoT(モノのインターネット)モジュールの「WHILL Premium Chip」搭載の機体を購入する必要があり、半導体不足などの影響で納車およびサービス開始は2023年1月以降を見込んでいる。

自動車を模したインタフェース 自動車を模したインタフェース[クリックして拡大]
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