本連載第31回で、オーストラリアのデジタルヘルス施策を取り上げたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対応期を経て、メンタルヘルス領域のデジタルイノベーションが活発化している。
本連載第31回で、オーストラリアのデジタルヘルス施策を取り上げたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急対応期を経て、メンタルヘルス領域のデジタルイノベーションが活発化している。
オーストラリアでは、毎年3000人以上が自殺により命を失っており、15〜44歳では死因の上位を占めている。加えて、同国民の5人に1人は毎年精神疾患を経験しているという。
このような背景から、オーストラリア連邦政府は、2021〜2022会計年度より、メンタルヘルス・自殺防止システムの重要な構造改革に着手した。2021年5月11日には、オーストラリア保健・高齢者ケア省が、「国家メンタルヘルス・自殺防止計画」(関連情報)を公表している。
同計画は、以下の5つの柱から構成される。
そして、メンタルヘルスケアを根本から変革するために、オーストラリア連邦政府は、以下のような施策を講じるとしている。
これらの中で、Head to Health(関連情報)については、図1に示す通り、保健・高齢者ケア省がデジタルメンタルヘルスサービス関連リソース集(アプリケーション、オンラインプログラム、オンラインフォーラム、電話サービス、デジタル情報リソースなどを含む)をWebサイトで提供している。
Head to Healthは、各州・地域単位の保健施策にも組み込まれている。例えば、本連載第34回で取り上げたビクトリア州では、メルボルンなど州内各地域にあるプライマリーヘルスネットワーク(PHN)がHead to Healthの地域ハブとして機能している(関連情報)。図2は、北西メルボルン・プライマリーヘルスネットワーク(NWMPHN)が提供する、Head to Healthを組み込んだ「My mental health」サービスの事例である。
参考までにNWMPHNは、第34回で紹介したメルボルン大学系列の王立子ども病院(RCH)と共同で、子どものメンタルヘルス支援コミュニティーを構築している(関連情報)。
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