本連載第31回で触れたように、2000年代から保健医療関連ICT基盤の構築が先行していたオーストラリアでは、「オーストラリア国家デジタルヘルス戦略(2018-2022)」(関連情報)などをベースに、デジタルヘルスから生み出される資産を利活用してソリューション化し、ワールドクラスのデジタルヘルス産業を育成する動きが顕在化していた。このような状況下で注目されるのが、デジタルを活用したメンタルヘルス領域のイノベーションである。
デジタルメンタルヘルスサービスに関わる信頼性や安全性、品質については、2020年11月、オーストラリア医療安全・品質委員会が「国家安全・品質デジタルメンタルヘルス(NSQDMH)標準規格」を策定・公開している(関連情報)。NSQDMH基準は、以下の3つの基準から構成される。
その後2021年7月7日には、オーストラリア保健・高齢者ケア省が、デジタルメンタルヘルスサービスの提供に対する統合的・戦略的アプローチを支援し、政府による将来の財源に関する意思決定を知らしめることを目的として、「国家デジタルメンタルヘルスフレームワーク」(関連情報)を公表した。図3は、同フレームワークの全体像を示したものである。
図3 オーストラリア保健・高齢者ケア省「国家デジタルメンタルヘルスフレームワーク」(2021年7月7日) 出所:Australian Government Department of Health and Aged Care「National Digital Mental Health Framework」(2021年7月7日)デジタルメンタルヘルスフレームワークでは、以下の6つを目標に掲げている。
また、上記の目標を達成するためにとるべき行動を、以下の5つの領域で定義している。
そして、これらの目標や行動領域の達成を支援する、以下の5つの重要システムイネイブラーを設定している。
その上で、デジタルメンタルヘルス全体に渡る変化を評価するために、以下の5つのサービス最適化カテゴリーを設定している。
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