日立はインダストリー事業において、プロダクト、OT(制御技術)、ITを併せ持つ強みとデジタルソリューション群「Lumada」を組み合わせて、現場と経営、サプライチェーンの間にある「際」の課題をデジタル技術で解決し、新しい事業価値を創出する「トータルシームレスソリューション」の展開に注力している。
北米市場のインダストリー事業で、このトータルシームレスソリューションコンセプトにおけるOTを担うのが2019年に買収したロボティクスSIerのJRオートメーション(JR Automation)であり、ITを手掛けるのが日立ヴァンタラなど日立のグループ企業だ。しかし、OTとITを橋渡しする機能が欠けており“ミッシングピース”となっていた。今回買収したフレックスウェアがMES/SCADAのSIerとして、OTとITをスムーズにつなげることで、トータルシームレスソリューションによって目指すCPS(サイバーフィジカルシステム)の構築がより容易になる。
インダストリアルデジタルビジネスユニットが所属するインダストリーグループの2021年度の北米市場売上高は1166億円で、2024年度には2316億円とほぼ倍増させることを目指している。2021年度の1166億円のうち約800億円がインダストリアルデジタルビジネスユニットの管轄で、2024年度の2316億円についても「かなりの割合を占めることになる」(森田氏)としている。
なお、フレックスウェアの買収は、投資会社などが提示した売却リストから選んだわけでなく、日立のインダストリー事業に必要な機能を持つ企業を独自にリストアップした中からアプローチしたという。森田氏は「2021年からリストアップや絞り込みを進め、2022年からフレックスウェアとの交渉が本格化した。日立のインダストリー事業が目指す方向性や、カルチャーが合うかどうかなどを検討した上で両社で合意できた」と説明する。フレックスウェア 創業者のウィトロック氏も「これまで育ててきたフレックスウェアのユニークな文化は、日立創業の精神と完全に融合するもので、これからともにする未来をとても楽しみにしている」とコメントを寄せている。
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