倉庫内のマテハン機器を賢くつなぐ、三菱重工が自動ピッキングシステム提供開始:物流のスマート化(2/2 ページ)
需要や物流の変動に迅速かつ柔軟に対応するソリューションの開発を目指した。例えば、冷たい飲料の販売数は少ない時期と多い時期で年間4倍程度の変動が起こるという。従来は、販売数が多い時期は短期のアルバイトを採用したり、保管スペースを増やすなどで対応していた。
AGFやAGVを用いたソリューションは、自動倉庫やコンベヤーなどの固定設備タイプに比べて収納効率や搬送速度は劣るが移設や増設、レイアウト変更に素早く対応できる。また大規模な工事が必要なく退去時の原状復帰が容易なため、現在主流になりつつあるマルチテナント型の倉庫に適している。
今回開発した自動ピッキングソリューションでも、AGVは床面に張り付けたQRコードで走行ルートを認識し、AGFはレーザー誘導方式で必要な施工は反射板を設置するだけとなっており、フレキシブルな対応ができる。
三菱重工と三菱ロジスネクストによる自動ピッキングソリューション[クリックして再生]出所:三菱重工
また、シミュレーションが可能となっており、レイアウトをモデル化してピッキング指示書を入力することで、システム構築前にピッキング能力が推定できる他、最適なレイアウト、機器台数が分かる。ソリューション導入後の1日の処理能力も事前に予測できるようになる。
LogiQXLaboで披露されたデモンストレーションでは、AGFによる出庫からAGFとAGVが連携した荷物の受け渡し、AGVの搬送、ロボットによるパレタイジングなどが披露された。
三菱ロジスネクストでは2021年にレーザー誘導方式のAGF「プラッターオートHタイプ」を発売した。有人フォークリフトの国内販売台数で同社のシェアは2021年で34%となっており、年間数百台程度というAGFの市場においても同等以上のシェアを目指す。
フォークを伸ばしたAGFと連携して動くAGV[クリックして拡大]
⇒その他の「物流のスマート化」の記事はこちら
- 物流の第4次産業革命「Logistics 4.0」とは何か
物流ビジネスへの注目が日増しに高まる中、新たなイノベーションによって、物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」が起きつつある。本連載では、Logistics 4.0の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する。第1回は、Logistics 4.0までの物流におけるイノベーションの変遷を解説する。
- 物流で進むロボット採用、課題突破に必要な「認識」と「把握」
ロジスティクスの高度化などに関する展示会「ロジスティクスソリューションフェア2019」(2019年8月27〜28日、東京ビッグサイト)において開催されたロジスティクスカンファレンスで、MUJIN 営業本部 物流営業部長 兼 PMチームリーダーの荒瀬勇氏が登壇。「物流現場におけるロボティクス活用の最新動向」をテーマとし、物流現場におけるロボットの活用と同社の取り組みについて紹介した。
- 物流へのIoT適用を考える
日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」。本連載では多くの製造業が取り入れるトヨタ生産方式の利点を生かしつつ、IoTを活用してモノづくりを強化するポイントについて解説していきます。第6回は、グローバル化の進展によって重要度を増している物流でIoTを活用する考え方について説明します。
- 三菱重工が機械システム知能化基盤「ΣSynX」を展開、新領域拡大で手応え
三菱重工業が2021年度第2四半期決算と、2021〜2023年度の中期経営計画「2021事業計画(21事計)」の進捗状況を発表。2021年度上期業績はコロナ禍からの回復が進んでおり、21事計についても「一言で言って順調に進捗している」(三菱重工 社長 CEOの泉澤清次氏)という。
- 物流施設向けピッキングロボットが第3世代に、毎時1200個のピック能力を実現
オカムラは物流施設における商品のピッキングを行うロボットピースピッキングシステム「RightPick(ライトピック)」の第3世代モデルを発売する。「RightPickプロセッサーモジュール」の処理能力を大幅に向上し、従来比20%高速の毎時1200個のピック能力を実現したという。
- 「ΣSynX」による倉庫内の作業自動化実証実験、AGFやパレタイザーが連携
三菱重工業は、同社グループの三菱ロジスネクストと共同で、AGF、AGV、パレタイザーを連携し、倉庫内の荷役作業を自動化するソリューションの開発に着手した。標準プラットフォーム「ΣSynX」のコア技術を適用している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.