血液検査によるうつ病診断補助技術の共同事業実証を開始医療機器ニュース

島津製作所は、九州大学と共同で開発した血液検査によるうつ病の診断補助技術を社会実装するため、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズと連携して、企業の検診などで共同事業実証を実施する。

» 2022年07月27日 15時00分 公開
[MONOist]

 島津製作所は2022年7月13日、九州大学とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)が取り組む「働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり 〜うつ/うつ症状の予防 〜 復職支援等〜」への参画を発表した。

 九州大学病院では、2013年に気分障害ひきこもり外来を立ち上げ、生物や心理、社会的理解に基づく精神疾患の治療法開発を進めている。島津製作所は九州大学と共同で、2016年に「血中代謝物バイオマーカーを用いたうつ病の重症度を診断する手法」を確立。2020年には、うつ病診断補助の手法を開発した。

 両者は現在、「問診による被験者のストレス感受性の強弱に依存するグルーピング」「高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)により得られる血液中バイオマーカー」を組み合わせ、高精度ストレススクリーニングモデルの開発を進めている。

 今回のHMTとの連携では、両者が共同で開発してきたこれらの血液検査によるうつ病の診断補助技術を社会実装するため、企業の検診などで共同事業実証(POC)を実施する。社員のメンタルヘルスの不調を早期発見する体制構築を目指し、既に福岡市のモデル企業の社員100人を対象とした実証研究を開始している。

キャプション 九州大学大学院医学研究院 准教授の加藤隆弘氏、同病院検査部 助教の瀬戸山大樹氏と、研究で使用する高速液体クロマトグラフ質量分析計[クリックで拡大] 出所:島津製作所

 島津製作所はこのPOCを経て、検査サービスパッケージを確立する。また、検診や人間ドック向けの検査モデルを構築し、組織マネジメントコンサルテーションと組み合わせた検査の社会実装に取り組むとしている。

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