ダイヘンは、レーザー超音波法を用いて、溶接内部の欠陥を自動検出するロボットシステムを開発した。板厚1.6mmまでの薄板重ね隅肉溶接部に対応し、車体の軽量化や薄板化に適した検出システムとして製品化を進める。
ダイヘンは2022年6月27日、レーザー超音波法(LUT)を用いて、溶接内部の欠陥を自動検出するロボットシステムを開発したと発表した。大阪大学接合科学研究所内の「ダイヘン溶接・接合協働研究所」の研究成果で、2023年度中の製品化を目指す。
自動車の足回りに使われる亜鉛メッキ鋼板は、溶接作業で発生するブローホールなどの検出のため、内部欠陥検査をする必要がある。従来の超音波検査では6mm未満の薄板への適用や自動化が困難だったため、同社はLUTに着目し、薄板溶接部の内部欠陥自動検出アルゴリズムを開発。この技術をロボットシステム化することで、検査にかかる手間やコスト、時間の削減が可能になる。
LUTを用いた非接触検査は、既存の生産ラインへの適応が容易で、高温かつ曲面や小さな対象物でも検査が可能だ。また、非破壊検査のため、製品を切断して内部欠陥を確認する破壊検査の廃棄ロスを削減する。同時に、全数検査で不良品のみを抽出可能で、ロット全体の手直しや製品廃棄が不要になる。
板厚1.6mmまでの薄板重ね隅肉溶接部に対応し、さまざまな足回り部品に適用できる。EV(電気自動車)へのシフトに伴う車体の軽量化や薄板化に適した検出システムとして、自動車産業を中心に提供していく。併せて、溶込み深さの計測や、溶接中に内部欠陥を検出する「インプロセス計測」の研究開発にも取り組んでいく。
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