自動車メーカー好業績の裏で、伸び悩んだ生産台数自動車メーカー生産動向(3/4 ページ)

» 2022年05月27日 06時00分 公開
[MONOist]

三菱自

 8社の中で最も高い伸び率を示したのが三菱自だ。2021年度のグローバル生産台数は、前年度比25.9%増の102万4888台と3年ぶりにプラスへ転じた。8社の順位でもマツダを1362台上回り、ダイハツに次ぐ6位となった。ただ、2019年度と比べると23.4%減という実績で、2020年度が低水準だったことが要因ともいえる。

 大幅増のけん引役は海外生産で、前年度比35.2%増の60万4300台と3年ぶりに前年実績を上回った。2020年がコロナ禍で低迷していた東南アジアでの回復が貢献しており、インドネシアが同97.0%増、タイが同39.2%増と主要市場で大幅に伸長。「エクスパンダ―」や「トライトン」が好調だった。一方、いち早く市場回復が進んだ中国は同26.0%減と低迷した。

 国内生産も前年度比14.7%増の42万588台と3年ぶりに増加した。2019年度との比較では32.2%減の実績で、本格回復とは言い難い。また、主力モデルの「eKスペース」および日産自動車向けにOEM供給する「ルークス」でエアバッグの不具合が判明し、12月から2月まで生産を停止したことが影響した。ただ、国内販売、輸出ともに好調な新型「アウトランダー」は生産回復に貢献した。

 着実に回復基調が続いていた三菱自だが、足元では急ブレーキがかかっている。3月単月のグローバル生産は、前年同月比22.4%減の8万8328台と2カ月ぶりのマイナス。中でも回復をけん引していた海外生産がコロナ禍からの反動増が一巡したため、同26.8%減の4万9258台と13カ月ぶりに前年割れとなった。主力拠点のタイが同27.1%減、高い伸びが続いたインドネシアに至っては同40.4%減と大きく減少した。中国も同10.8%減と振るわない。

 国内生産もeKスペースおよびルークスの出荷は再開したものの、半導体など部品の供給不足が足を引っ張っている。3月は前年同月比15.9%減の3万9070台と4カ月連続のマイナス。三菱自は上海のロックダウンによる供給網への影響も大きく、4月以降もしばらく厳しい状況が続きそうだ。

ホンダ

 半導体不足の影響がより顕著となったのがホンダだ。2021年度のグローバル生産は、前年度比8.6%減の414万2538台と3年連続で前年実績を下回った。国内生産は、同7.7%減の63万4468台と3年連続のマイナス。半導体など部品の供給不足の影響で計画通りに生産が進まず、稼働率も月ごとのバラつきが大きくなった。

 国内最量販車種の「N-BOX」は2021年度国内販売ランキングでトヨタ「ヤリス」を抑え2年ぶりの首位となったものの、半導体不足による生産調整を実施しているため、販売台数は前年度比3.2%減と伸び悩んだ。また、人気の新型車「ヴェゼル」は、ハイブリッド車の上級グレード「PLaY」が2021年10月から半年以上にわたり受注を停止する状況が続いている。

 海外でも部品供給に悩まされている。2021年度の海外生産は、前年度比8.8%減の350万8070台と4年連続のマイナスとなった。

 最大市場の中国は、コロナ禍からの回復が早かったため前年度の反動減が発生したことに加えて、半導体など部品供給の支障により5月以降は2桁パーセントの前年割れが続いた結果、同13.7%減の162万27台と2年ぶりの前年割れとなった。東南アジアは回復したが、中国の低迷をカバーするまでには至らず、アジアトータルでは同7.5%減と2年ぶりのマイナスだった。中国と並ぶ主力市場の北米も、前年の挽回生産の反動やサプライチェーンの混乱などにより同9.0%減の127万964台と5年連続で減少した。

 挽回生産により年明けから回復傾向を示していたホンダだが、足元では再度部品供給難の影響が広がっている。3月単月の世界生産は、前年同月比6.3%減の38万7853台と3カ月ぶりの前年割れとなった。半導体不足の長期化により計画修正を迫られている状況だ。

 中でも海外生産は、同9.3%減の31万6132台と3カ月ぶりのマイナス。北米でのマイナスが続いており、同4.9%減の11万2276台と10カ月連続で減少した。中国も同9.2%減の14万6630台と3カ月ぶりの前年割れで、アジアトータルでも同6.1%減と3カ月ぶりのマイナスだった。

 一方、国内生産は同9.7%増の7万1721台と5カ月連続で前年実績を上回っている。8社でも国内生産がプラスとなったのはホンダのみ。ただ、前年3月が半導体不足で大幅な減産を実施したことが要因であり、本格回復とは言い難い。

日産

 日産も厳しい結果となった。2021年度のグローバル生産台数は、前年度比10.7%減の338万9958台と4年連続で前年実績を下回った。6月までは前年のCOVID-19感染拡大による生産停止の反動増でプラスを維持したものの、夏以降は半導体不足などの影響が広がり、年度トータルでは2桁パーセント減となった。

 国内生産は、同13.8%減の44万5836台で5年連続のマイナス。前年度から3割超の落ち込みを見せた2020年度をさらに下回る厳しい台数だった。国内向け「ノート」「ノートオーラ」の新型車効果などプラス要因はあったが、9月以降に部品供給の環境が急速に悪化し、2桁パーセント減が続いたことが響いた。

 海外生産も前年度比10.2%減の294万4122台と4年連続の前年割れ。地域別では、「パスファインダー」「フロンティア」といった新型車を投入した米国が同6.2%増と6年ぶりに前年実績を上回った。ただ、メキシコが同9.5%減と落ち込んだ結果、北米トータルでは同2.4%減の93万434台にとどまった。さらに足を引っ張ったのがコロナ禍からの回復が早かった中国で、同17.8%減の131万7995台と低迷した。英国も同26.2%減と振るわない。

 日産は足元でも部品供給による影響が深刻さを増している。3月単月のグローバル生産は前年同月比25.9%減の29万560台と9カ月連続で前年実績を下回った。8社のグローバル生産ではマツダに次ぐ2番目に大きな落ち込みとなった。

 中でも厳しいのが国内生産で、前年同月比43.9%減の3万8648台と7カ月連続の減少で、2桁パーセント減が続いている。8社の国内生産でも最大の落ちこみとなった。これにより輸出も同49.0%減と半減している。海外生産も同22.1%減の25万1912台と9カ月連続のマイナス。米国は同7.0%増とプラスを確保したものの、メキシコが同55.4%減、英国が同19.0%減、中国が同18.3%減と大幅減が目立った。

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