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» 2022年05月13日 14時00分 公開

量子インターネット技術の構築を促進する、新しい量子ドットを開発組み込み開発ニュース

大阪大学産業科学研究所は、光子−電子変換効率の高い「GaAsゲート制御型量子ドット」を開発した。量子暗号通信の長距離化や、量子インターネットに利用できる可能性がある。

[MONOist]

 大阪大学産業科学研究所は2022年4月8日、カナダ国立研究機構と共同で、光子−電子変換効率の高い「GaAsゲート制御型量子ドット」を開発したと発表した。量子暗号通信の長距離化や、量子インターネットに利用できる可能性がある。

 量子ドットを利用した量子通信への期待は高く、長距離量子情報通信の基盤となる量子中継器の開発が進められている。半導体量子ドット中の電子スピンは量子コンピュータの量子ビットで、光子は量子通信の量子ビットだ。量子通信では両量子間で量子情報を変換する必要があるが、現時点の変換効率は、1万回光子を照射して1回成功する程度と低く、実用化を妨げている。

 研究グループは、従来利用していた(001)面上GaAs量子ドットの代わりに、対称性の低い(110)面上のGaAs量子井戸構造を使用。重い正孔からの量子状態変換を可能にし、光子量子状態から電子スピン量子状態への変換を、理論上3倍高くできるとした。

 さらに、(110)面上に2重量子ドットを作製し、スピン依存ドット間電子トンネルによる電流を解析することで、量子インタフェースの設計に必要な、電子スピン状態を決定するg因子の決定にも成功した。

キャプション (110)面上に作製した2重量子ドットと電荷計の電子顕微鏡写真 出所:大阪大学産業科学研究所

 今後、表面プラズモンアンテナやナノフォトニック構造と組み合わせ、変換効率を上げることで、量子中継基盤技術の開発が進むと期待される。

キャプション 光子−電子スピン量子状態変換の模式図[クリックで拡大] 出所:大阪大学産業科学研究所
キャプション 左:(110)面上GaAs 2重量子ドットの2つのドット中の電子数が、ゲート電圧で1つずつ変化する様子を表す電荷状態安定図。右:2電子領域のスピン依存電流の磁場依存性 出所:大阪大学産業科学研究所

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