現在、ロボットによる自動化が期待されている分野の1つに、いわゆる“ラストワンマイル”、自宅への配送サービスがある。コロナ禍により、通販の利用が拡大。さらに、人との接触を避けたい、というニーズも高まっている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ブースでは、技術実証が進む各社の配送ロボットを見ることができた。
共通しているのは、完全に自動なのではなく、人間が遠隔で監視することで、安全を確保しようとしていること。公道のような実環境では、さまざまな例外事態が発生する。それら全てに問題無く対処するのは、現在のAI技術ではまだ難しい。いずれは完全自律も実現するだろうが、過渡期の対応として、人間の介在は現実的といえる。
NTTドコモ、テムザック、都市再生機構、日本総合住生活のグループは、UR団地で配送実証実験を行った。車体は、テムザックの電動車椅子「RODEM」をベースに開発。高齢者が日用品などを配達してもらうことを想定し、実際の住人に参加してもらったという。
本田技術研究所と楽天グループは、筑波大学構内にて実証を行った。車体は本田技術研究所が開発。自動車メーカーとして培ってきた安全技術が搭載されているという。バッテリーは交換式になっており、充電時間は不要だ。商品配送ボックスは、楽天が担当した。
パナソニックは、藤沢市にあるスマートタウン「Fujisawa SST」にて実証を行っている。すでに、公道で累計1000km以上の走行実績があり、パンや医薬品などの配達で使われているという。1人のオペレーターが4台のロボットを監視することで、省力化も可能だ。
ソフトバンクと佐川急便は、港区の竹芝エリアにて走行実証を行った。大きな特徴は、信号機との連携システムを開発したことだ。画像認識よりも確実に信号の色を取得して、安全に横断歩道を渡ることができる。信号機と連携した屋外配送は日本初だという。
またNEDOブース以外では、ZMPが「DeliRo(デリロ)」を展示していた。このロボットは、可愛らしい外観が印象的だが、公道走行で不審に思われないよう、デザインにはこだわったという。曲がりたい方向を目で見るなど、外から意図が分かりやすいUIも面白い。
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