本田技術研究所は、遠隔操縦が可能なアバターロボットを出展していた。同社は、2030年代の実用化を視野に、アバターロボットの研究開発を進めている。アバターロボット自体は既に多くの企業が開発しており、それほど真新しいものとはいえないものの、同社技術の大きな特徴は2つある。
1つは、ハンドの技術だ。ロボットの社会実装において、最大級の難問の1つが実はハンド。人間の手は非常に良くできている。固いものも柔らかいものも器用につかめるし、指は細いのに力強い。産業用ロボットなら特定タスクのための専用ハンドを使えば良いが、生活環境では汎用的な能力が求められる。これが非常に難しい。
同社は、力強さと器用さを両立する4本指のハンドを開発。この指はワイヤで駆動しており、動滑車を採用したことで、指先で50Nの力を発揮することができるという。今回、ブースでは見ることができなかったものの、缶のプルタブやペットボトルの蓋を開けるようなことも可能というから驚きだ。
もう1つの特徴は、動きをAI(人工知能)がサポートするということだ。人間の動きをそのままロボットがトレースするだけだと、作業効率は人間のスキル次第。しかし遠隔操縦は、遠近感を捉えづらく、体のサイズも違うので、上達するためにはそれなりの練習が必要だ。
一方、このアバターロボットは、人間の目、手、指の動きから、人間の意図を推定。例えば、モノをつかみたいと判断すれば、その近くに手を移動させるなど、ロボットの動きをAIが補正する。細かい動きはAIに任せ、人間はどう動かすかの状況判断だけで良いので、これなら、誰でも簡単に動かせるようになるというわけだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.