コロナ禍を経て開催の時期や規模で影響を受けた「2022国際ロボット展(iREX2022)」。本稿では、サービスロボットゾーンの展示を中心にレポートする。4足のヤギ型ロボットで話題をさらった川崎重工業のヒューマノイドロボットや、本田技術研究所と人機一体の遠隔操縦ロボット、社会実装が進みつつある自動配送ロボットなどに注目が集まった。
「2022国際ロボット展(iREX2022)」が2022年3月9日〜12日、東京ビッグサイトで開催された。iREXは2年ごとに開催されている世界最大級のロボット展示会である。しかし今回は、コロナ禍となってから初めての開催。前回(iREX2019)に比べ、出展者数は微減(637→615)、来場者数は半分以下(約14万人→約6万人)と、大きな影響を受けた。
ワクチン接種がかなり進んだとはいえ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の終息はまだ先が見えない。もともとの人手不足によるニーズの高まりに加え、コロナ対策のための自動化の拡大もあり、昨今、ロボット業界への期待はさらに高まっている。本レポートでは、主にサービスロボット分野で注目を集めた展示を幾つか紹介していこう。
大きな話題となっていたのが、川崎重工業のヒューマノイドロボット「Robust Humanoid Platform(RHP)シリーズ」だ。最もインパクトが大きかったのは、初披露された4足のヤギ型ロボットだったりするのだが、まずは前回も出展されていた2足歩行の「RHP Kaleido」から見ていこう。
RHPは、名称に“Robust”と入っていることからも分かるように、「壊れない」を目指した等身大ロボットである。将来の実用化を見据えた際に、2足歩行ロボットの大きな問題となるのは壊れやすさだ。Kaleidoは、頑丈なフレームの周囲に直動モーターが付く筋骨格構造を採用することで、高い耐久性を実現している。
RHPは2015年に開発を開始し、今回公開されたKaleidoは最新のVer.7となる。Ver.7では、新たに動歩行を実装したことで、前回のVer.6に比べ、歩行速度が大幅に向上。動作デモでは速度は抑えていたが、スペック的には時速5km程度まで可能だという。
ブースでは、高所作業をイメージしたデモを披露。Kaleidoは、災害対応など、危険な仕事を人間に代わって行うことを想定している。ただ、具体的にどこで実用化できるのかはまだ手探りの状態であり、高所作業はその一例として紹介した、ということだろう。
また今回は、Kaleidoから派生したスリムタイプの「RHP Friends」を初公開。Kaleidoは少し軽量化されたとはいえ、パワー重視のためゴツくて圧迫感がある。人間と共生・協働する用途に向け、細身にしたのがFriendsで、高齢者施設で働くことを想定したデモとして、車椅子を押す動きを紹介していた。
そしてヤギ型のロボットが「RHP Bex」だ。2足歩行ロボットは転倒しやすいという課題があり、社会実装へのハードルが高いものの、近年、4足型は普及が進みつつある。川崎重工業にも4足型への要望が届いていたそうで、Kaleidoの技術を活用して開発。もともとがKaleidoのため、可搬重量は100kgと非常にパワフルだ。
RHP Bexは、不整地を4足歩行で移動できる他、舗装した道路では車輪による高速走行も可能。運搬用途などを想定しているそうで、デモでは、農場まで車輪で走行し、到着したら4足歩行で野菜を運ぶシーンを紹介していた。
なお同社のブースでは、1日4回のデモが行われていたのだが、最後の回だけは、特別構成で実施。Kaleidoは平均台歩行や段差からの飛び降り、Friendsはダンス、そしてBexはスタッフを乗せての4足歩行と、より機能をアピールした内容となっていた。動画も掲載しておくので、こちらも確認して欲しい。
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