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ロボットバトルはメタバースでもやれんのか! VRChatで大会を開催してみたVRでROBO-ONEやってみた(1/4 ページ)

新型コロナウイルス感染症によりロボット競技会が大きな影響を受ける中、ROBO-ONE Lightの公認機をリモート操縦で戦い合わせるためのシステムを独自に構築した筆者の大塚実氏。しかしこの環境でもさまざまな制限があるということで、注目を集めるメタバース(というかVR)に戦いの舞台を求めた。VRでロボットバトル、どれだけやれんのか!

» 2021年12月06日 10時00分 公開
[大塚実MONOist]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、社会は大小さまざまな影響を受けた。筆者が取材したり出場したりしているロボット競技会もその1つ。2020年4月に1回目の緊急事態宣言が出されてから、リアル会場での開催が難しくなり、オンラインに移行したり、大会によっては中止になったりしていた。

 ロボット競技会はどうしても物理的なロボットが必要になるため、オンラインへの移行が本質的に難しい。最近は第5波がようやく終息し、社会も元に戻りつつあるが、次の第6波がいつ来てもおかしくはない。ちょうどメタバースが注目されており、ブームに乗っかる形で「ではVR(仮想現実)でやってみよう!」というのが本稿の趣旨である。

VR大会の様子 VR大会の様子。さまざまなアバター姿のプレイヤーが参加していた[クリックで拡大]

オンラインでもロボットバトルで対戦したい

 筆者はほぼ毎回、ロボットバトル競技会「ROBO-ONE」のLightクラスに出場していたのだが、この大会も新型コロナのためにオンラインに移行。ただ、ロボット同士が対戦して倒したり投げたりするという本来のスタイルが難しいため、お互いが順番に画面上で技を披露してポイントで勝負するという、全く別の競技になってしまっていた。

オンラインのROBO-ONE Light。ダミーロボット相手に技を仕掛け、ポイントを競う[クリックで再生]

 これはこれで、良い面もあった。ロボットバトルの対戦で勝負に徹すると、どうしても似たような「使える技」ばかりになってしまう。だが、動かないダミーロボットが相手であれば、バックドロップなど、対戦ではまず使えないような派手な技をたくさん見ることができる。ロボットの新たな可能性を広げたといえるだろう。

 しかし、である。これは個人的な趣向なので一般論にするつもりはないのだが、筆者は人間同士の手に汗握るバトルが好きなのだ。相手の隙を突いて攻撃を入れるとか、さらにカウンターを合わせるとか、そういった人間同士の駆け引きは、やはり対戦でしか味わえない。オンラインの良さは理解しつつも、どうも出場する気にはなれなかったのだ。

これはリアル開催だった2020年2月の「第20回ROBO-ONE Light」 これはリアル開催だった2020年2月の「第20回ROBO-ONE Light」。やはりガチなバトルが楽しいのである(※個人の感想です)[クリックで拡大]

 そこで筆者は前回、オンラインでも対戦バトルができるようなシステムを作成し、実際に試してみた。そのあたりは下記の記事にまとめたので、詳しくはそちらを参照してほしい。

 このシステムでは、2台のロボットを用意し、Webカメラの映像を見ながら、インターネット経由で遠隔操縦できるようにしていた。確かに、これでロボットバトルの楽しさはかなり再現できたのだが、実際に運用してみると、幾つか課題が出てきた。

 これもすごく個人的な事情なのだが、筆者は築40年の古いアパートの2階に住んでいるため、ここでロボットをドカドカ動かすと、1階の住人への騒音が問題になりかねない。それにロボットのバッテリー管理など、手間が全て運用者にかかってしまうので、これで大会を開催するとなると、かなり面倒くさいことになる(主に筆者が)。

運用テストの様子。さすがにこれをアパートの2階で長時間やるのはまずい[クリックで再生]

 いっそのこと全部バーチャルでやってしまえば、物理的な面倒ごとは全てなくなる。というわけで、今回は、ロボットバトル大会をVRで開催することを目指してみた。

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