トヨタのEV「bZ4X」に貢献したアイシンとBluE Nexusの技術:電気自動車(2/2 ページ)
eAxleはアイシンの安城第一工場(愛知県安城市)で生産する。150kWのフロントユニット、80kWのフロントユニットとリアユニットをフレキシブルに混流生産できる組み立てラインを設けた。共通固定プラットフォームと、変動対応エリアの組み合わせによって、異なる機種をセル生産で組み立てる。将来的により多くの種類のユニットを生産する場合にも、変動対応エリアの切り替えなどによって対応できる。
ロボットアームに装着するツールを自動で持ち替えることができる組み立て機も新たに導入した。複数の工程を1つのロボットで処理できるため、生産ラインのコンパクト化と低コスト化が図れる。また、自動搬送システムやエネルギーの見える化などの新しい生産技術を複数取り入れ、組み立てラインにおけるCO2排出量を従来比で30%削減する。
eAxleの生産ライン[クリックで拡大] 出所:アイシン
床下にレイアウトされた電池ケースを側面衝突から保護するロッカーEA材もアイシンで手掛けた。ロッカーの真下に配置されるエネルギー吸収部材だ。EVはバッテリーによって車両重量が増えるため、衝突安全性能の確保が厳しく求められる。
ロッカーEA材が取り付けられている位置[クリックで拡大] 出所:アイシン
ロッカーEA材はアイシンとしては初めて手掛ける製品となった。CAE解析と実機試験によって、最適にエネルギーを吸収できるラダー断面構造を開発した。変形のモードや荷重特性をCAEと実機で合わせ込み、最適な断面の形状を検討した上でリブの配置や肉厚など2000通りのパターンから最終的な設計を導き出した。これにより、側面衝突を受けたときにロッカーEA材が折りたたまれるように最適に変形してエネルギーを吸収し、電池ケースに伝わる衝撃を小さくする。また、アルミを採用することで車両の軽量化にも貢献する。
アイシン軽金属からは、充電機能と電力分配機能を集約したESU(Electricity Supply Unit)を保持するESUクロスが採用された。アルミダイカスト一体構造を採用することで、十分な剛性を確保しながら鉄フレーム構造と比べて大幅な軽量化を図る。さらに、低圧鋳造技術により、設備のダウンサイジングも図った。
クラウドの地図情報や音声処理機能を活用するコネクテッドナビもアイシンが担当した。交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムに提供する。また、EVであるbZ4Xへの搭載ということもあり、ルート案内を設定するとバッテリー残量と走行可能な距離を基に充電施設を中継地点として提案する移動支援機能や、バッテリー残量で走行可能なエリアを示す円形表示、周辺の充電施設を提案する充電施設検索などにも対応させた。
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