アイコンに絵画のような描画は必要ありません。よって、単純な図形の組み合わせと図形の結合コマンドによって、かなり緻密な絵柄でも作成できます。そもそもアイコンは単純化、抽象化されていますので、そんなに複雑なものとはなりません。
著者は、以下のような手順でオリジナルのアイコンを作成しています。
1.プレゼン資料のイメージに合うアイコンを一通り探しますが、専門的なもの、概念的なものはなかなか見つかりません。イメージのキーワードをベースに、下絵となる図形を探します。その際、図形に限らず、写真、イラストなども含めて探します
2.イメージに合う写真やイラストを見つけたら、それをPowerPointに挿入します。このとき、下絵となるものはスライドマスターに挿入し、図形の透明度を50〜70%に設定します。スライドマスターに下絵を張ることによって、アイコン作成時の作業効率が格段に上がります
3.標準ページに移動し、PowerPointの図形にある素材を使って下絵をトレースします。これだけでもアイコンとして認識するのに十分な形状にたどり着くことができます
4.例えば、滑らかな曲線が必要な場合には、「頂点の編集」コマンドを使います。頂点の編集コマンドはAdobeのグラフィックスソフト「Illustrator」と同じように、曲線をコントロールできます。頂点の編集については、以下のWebサイトに詳しく解説されています
⇒頂点の編集で怖いものなし! カスタム図形編 違いの分かる矢印を作る! の巻き
5.最後に、全体のバランスと線の太さ、色を整えて完成です
これでPowerPointネイティブなアイコンができました。ここで気を付けなければならないことがあります。それはアイコンを線で作るか、面で作るかということです。
アイコンを線で作ると、線ごとに色や太さの属性を変更できます。一方、面で作ると面の周辺の線の属性しか変更できません(図5)。線のみで作るか、面のみで作るか、その組み合わせで作るか、アイコンの利用状況をイメージして構成をデザインしてください。
図6は、VR(仮想現実)のアイコンです。人物の外形は線で、ゴーグルは面で構成しています。人物の外形線を変えたり、ゴーグルの色を変えたりすることができるデザインです。
1919年にドイツのヴァイマルに設立され、1933年に閉校したバウハウス(ドイツ語:Bauhaus)は、工芸、写真、デザイン、建築などの総合的な教育を行った学校です。工業製品デザインの基礎を作り上げたともいわれています。その教えの中に、次のようなものがあります。
形態は機能に従う(Form Follows Function)
デザインにおける美しさは、機能に従うものだという考え方です。アイコンを作る際にもぜひ心掛けてみてください。 (次回へ続く)
絵心やセンスがないとアイコンのデザインができないわけではありません。
方眼紙、縦線、横線、四分円だけで、かなりのカタチを作ることができます。今回は縦線、横線、四分円だけしか使えないミニマルなグラフィックスエディタ「minimator.」を紹介します(図7)。
図7に示した図形の全ては、縦線、横線、四分円だけで描かれています。右側のジョン・レノンのようなキャラクターもです!
使い方は至って簡単。ドットの方眼に縦線、横線、四分円を描いていくだけです。変えられるのは“線の太さのみ”という潔さです。一応、Undoもサポートされています。タブレット端末にも対応しています。さらにうれしいのは、SVGへのエクスポートができる点です。SVGは、PowerPointのアイコン作成の強い味方です。アイコン作成のハードルをグッと低くしてくれます。
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