iREX2022では、これらの技術の内、「AlliomPicking」と「AlliomVision」のデモを披露した。「AlliomVision」を活用したユニークな取り組みが、ポテトサラダが「おいしそうに配膳されているかどうか」を判断するという食品盛り付け状態の検査である。
これは、ポテトサラダを構成するポテトの白色、ニンジンの赤色、キュウリの緑色のバランスについて、一定の評価指標を与え、最適なバランスになっているかどうかを判断するというものだ。最適なバランスになっていないものと最適なバランスのものを学習データとして用意し、それを基にモデルを作ることで、推論モデルを構築している。「人の感性もデータがあればある程度はAIモデル化できる」(久保田氏)。
また、不良品と判断された場合も色のバランスなどの根拠も同時に示せるために、赤が足りないとされた部分にニンジンを足すなど修正を行うことも可能だ。「将来的には外観検査を行い、不良品の修正作業などまで自動化することなども可能になる」と久保田氏は語っている。
「AlliomPicking」と「AlliomVision」を組み合わせた形で実現したのが、唐揚げを“おいしそう”に配膳するというデモだ。これは、バラ積みの唐揚げを色味や大きさ、形状などを判断し、最適な見た目になるようにトレイ上に配膳するものだ。バラ積みの唐揚げをピッキングして配置するところでは「AlliomPicking」を活用し、最適な色味や大きさ、形状などを判断するところで「AlliomVision」を活用している。
久保田氏は「AI技術の進展で現場で人の判断が必要だった領域の一部で置き換えができるようになってきている。それが実用化レベルで実現できるようになってきたことが大きい。これによりロボットの活用範囲も広がり、自動化が行える領域も広がることになる」と語っている。
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