日本が関わる深宇宙探査として、2022年はESA(欧州宇宙機関)の木星氷衛星探査計画「JUICE」に注目したい。この探査機は今年の打ち上げ後、2031年に木星周回軌道に到着、さらに2034年には、世界で初めて、ガニメデの周回軌道に投入される予定。日本は、観測機器のハードウェア提供やサイエンスメンバーの参加などで協力している。
ガニメデの表面には、木星形成当時の材料物質が化石のように残っていると考えられ、これを調べることで、巨大ガス惑星の起源と進化を探る。さらに、厚い氷の下に液体の海が存在する可能性があり、その証拠も調べる。成果が出てくるのはまだかなり先の話になるものの、まずは旅立ちを見守りたい。
NASA(米国航空宇宙局)の小惑星探査機は現在、「OSIRIS-REx」が小惑星Bennuで採取したサンプルを地球に持ち帰っている途中だが(2023年9月に帰還予定)、2022年8月には早くも次の探査機として「Psyche」が打ち上げられる。この探査機が目指すのは、金属主体のM型小惑星Psyche。到着予定は2026年だが、“金属の世界”がどのような姿なのか、非常に楽しみだ。
そして2022年のイベントとしては、NASAの探査機「DART」を忘れるわけにはいかない。2021年11月に打ち上げられたこの探査機は、2022年9月に目標天体である二重小惑星Didymosに到着する。普通の探査機であれば、ここで観測なり着陸なりするところだが、DARTはなんと減速せずに、そのまま猛スピードで激突する計画だ。
これは、プラネタリーディフェンス(惑星防衛)を想定した実験である。恐竜が巨大隕石の衝突によって絶滅したことは有名だ。破滅的な影響をもたらす直径10km以上の大きな小惑星については、既にほぼ発見されて軌道が分かっているものの、もっと小さいものについては、衝突の直前まで見つからない恐れもある。
もし衝突コースの小惑星を見つけた場合、どんな方法でそれを回避できるのか。DARTではまず基本的な実験として、探査機をぶつけてみて、小惑星の軌道がどう変わるか調べる。DARTは当然ながら衝突で壊れるため、小惑星の表面がどうなったのか分からないが、これについてはESAの探査機「Hera」が2026年に到着し、観測する計画だ。
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