次はロケット関係の話題を紹介したい。日本の“宇宙への玄関口”は、長らく種子島と内之浦(どちらも鹿児島県内)だけだった。最近は、ここに北海道の大樹町が加わり、2022年はさらに増える可能性がある。
和歌山県での打ち上げを計画しているのはスペースワンだ。同社は2018年、キヤノン電子、清水建設、日本政策投資銀行、IHIエアロスペースによって発足。小型ロケット「カイロス」の開発を進めている。市場が拡大している超小型衛星をターゲットとしており、打ち上げ能力は、高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に150kgとされる。
射場は同県串本町に「スペースポート紀伊」を建設。当初、2021年に初号機を打ち上げる計画だったが、現在は2022年末を予定している模様だ。同社はほとんど情報を公開していないため、開発状況は良く分からないものの、本州で見られるロケットの打ち上げということで、新たな観光先としても気になるところだ。
もう1つは大分県だ。同県は、空中発射方式のロケット「LauncherOne」を運用している米Virgin Orbitと提携。大分空港をスペースポートとして活用し、衛星の打ち上げに乗り出す。最速では、2022年内に最初の打ち上げを行う可能性もあるという。
LauncherOneは、ジャンボジェットを改修した母船「Cosmic Girl」に搭載。空港から離陸し、高度を上げてから空中で発射される。離陸は普通の飛行機と同じだし、発射が近くで見られるわけでもないから、打ち上げ観光としてはやや微妙な気がしないでもないが、ロケットを搭載するジャンボジェットという絵面はかなり面白いと思う。
また海外の新型ロケットで、2022年の目玉といえるのは何と言ってもSpaceXの巨大宇宙船「Starship」だろう。Starshipは、派手な爆発を繰り返した飛行実験で大きな話題となったが、いよいよ今年は、初の地球周回飛行に挑む予定。第1段として使用する巨大ロケット「Super Heavy」は、これが初の打ち上げとなる。
米FCC(連邦通信委員会)に提出された計画書によると、テキサス州の射場から打ち上げられたStarshipは、フロリダ半島沖を通過し、ハワイのカウアイ島沖に着水する予定だという。打ち上げ時期についてはまだ決まっていないが、明らかになっている開発状況からすると、2022年内の打ち上げはほぼ間違いないのではないだろうか。
小型ロケットでは、米Relativity Spaceの「Terran 1」にも注目したい。小型といっても、打ち上げ能力は高度500km、SSOで900kgと、日本の「イプシロン」よりも大きい規模になる。最大の特徴は、機体やエンジンなど、主要部分を3Dプリンタで製造するということ。これにより、製造期間、コストの大幅な削減を見込む。
このロケットは、ケープカナベラル空軍基地にて打ち上げられる予定。同社はまだ1機も打ち上げ実績がない段階であるものの、既に再使用型の大型ロケット「Terran R」の開発計画も明らかにしており、こちらは2024年に打ち上げ予定だという。
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