ガートナーが2021年の主要電子機器メーカーによる半導体消費に関する調査結果(速報値)を発表。2021年は、半導体不足と新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響によって生産体制に混乱を招いたものの、世界の電子機器メーカーによる半導体消費の総額は前年比25.1%増の5834億7700万米ドル(約67兆円)となった。
ガートナー(Gartner)は2022年2月1日(現地時間)、2021年の主要電子機器メーカーによる半導体消費に関する調査結果(速報値)を発表した。2021年は、半導体不足と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックの影響によって生産体制に混乱を招いたものの、世界の電子機器メーカーによる半導体消費の総額は前年比25.1%増の5834億7700万米ドル(約67兆800億円)となった。このうち、アップル(Apple)やサムスン(Samsung Electronics)をはじめとする上位10社の半導体消費額は同25.2%増の2457億8200万米ドル(約28兆2600億円)で全体の42.1%を占めた。
前年比で25%増という旺盛な半導体需要に基づく半導体不足の影響は、2022年に入っても続いている。「2021年、半導体ベンダーは半導体チップの出荷量を増やしたが、主要電子機器メーカーによる半導体需要はベンダーの生産能力をはるかに上回るものだった」(ガートナー アナリスト ディレクターの山地正恒氏)という。
2021年の半導体不足は、2020年末から指摘されていた自動車だけでなく、スマートフォンやビデオゲーム機などのさまざまな電子機器の増産を阻む要因になった。その一方で、半導体不足によりチップ単価が大幅に上昇したため、主要電子機器メーカーは2021年の半導体の調達に例年よりもはるかに多くの金額を投じることにもなった。マイコンや汎用ロジック集積回路、多種多様な特定用途向け半導体など、半導体チップは平均単価が15%以上の上昇を記録した。山地氏は「半導体不足により、主要電子機器メーカーの二重発注やパニック買いが加速し、半導体消費が急増した」と指摘する。
なお、2021年の半導体消費額の上位10社は、1位がアップル、2位がサムスンだった。2011年以降、順位の入れ替えはあるものの、これら2社が上位2社を維持している。
2020年に続き2021年もトップとなったアップルは、2021年の半導体消費のうち、メモリが36.8%増、メモリ以外は20.2%増加した。同社は自社設計のアプリケーションプロセッサに移行したため、マイクロプロセッサ(MPU)の需要が減少したという。サムスンの2021年の半導体消費は、メモリが34.1%増、メモリ以外は23.9%増加した。同社がターゲットとするスマートフォンやSSD(ソリッドステートドライブ)などの市場拡大が需要をけん引し、メモリ消費拡大の要因となった。
2020年に3位だったファーウェイ(Huawei)は、半導体チップの購入に苦戦し前年比32.3%減となり2021年は7位に後退した。このファーウェイの減少分を補うように、OPPOブランドを展開するBBK Electronicsが同63.8%増で6位から4位に、シャオミ(Xiaomi)が同68.2%増で8位から6位になるなど中国系スマートフォンメーカーが躍進した。
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