Wi-Fi Allianceは、LPWAネットワーク向けの無線LAN規格「IEEE 802.11ah」の技術を搭載した製品の認証プログラムである「Wi-Fi CERTIFIED HaLow(Wi-Fi HaLow)」を発表した。
Wi-Fi Allianceは2021年12月2日、オンラインで会見を開き、LPWA(省電力広域)ネットワーク向けの無線LAN規格「IEEE 802.11ah」の技術を搭載した製品の認証プログラムである「Wi-Fi CERTIFIED HaLow(以下、Wi-Fi HaLow)」を発表した。「2025年に300億台を超えるIoT(モノのインターネット)機器向けに、Wi-Fiの基本的な利点を備えつつ、長距離、低消費電力の無線通信接続を実現できる。2022年には出荷数が1000万個を突破する見込みで、今後も採用が拡大するだろう」(Wi-Fi Alliance Senior Vice President(マーケティング担当)のケビン・ロビンソン(Kevin Robinson)氏)という。
IEEE 802.11ahは、1GHz未満の周波数帯域を用いることで、約1kmの長距離通信とコイン電池で数カ月〜数年の動作が可能な低消費電力を可能にするLPWAネットワーク向けの無線LAN規格である。通信速度は、近距離で80Mbps以上、1kmの遠距離でも150kbpsを確保するなど競合のLPWAネットワークを上回るとともに、1つアクセスポイントで数千台のデバイスをサポートする通信密度や、壁など障害物があってもそれを貫通して通信を確保する強固な接続性なども特徴となっている。
今回、Wi-Fiの認証プログラムであるWi-Fi CERTIFIEDに加わったことで、同じくWi-Fi CERTIFIEDの下で運用されている「Wi-Fi 6」や「Wi-Fi Easy Connect」などとの連携も容易になり、最新のセキュリティ規格「WPA3」もWi-Fi HaLow対応デバイスでサポートされることになる。
なお、海外での利用が進んでいるWi-Fi HaLowだが、国内では802.11ah推進協議会が中心となって制度化に向けた取り組みを進めている。2021年度内をめどに、920MHz帯における通信割り当てが行われる見通しだ。
Wi-Fi HaLow対応デバイスの開発メーカーも徐々に増えつつあるところだ。これまではNewracomだけだったが、今回の会見では、Newracomの他、Adapt-IP、Methods2Business、MorseMicro、Palma Ceia Semidesignが加わり5社となったことが明らかになった。ロビンソン氏は「今後もWi-Fi HaLowを用いたIoT活用のユースケースがWi-Fi CERTIFIEDの下で広がっていくだろう。Wi-Fiも当初、デバイス開発企業は少なかったが、市場拡大に合わせて急速に増えていった。Wi-Fi HaLowについても同様の方向性で楽観的に捉えている」と述べている。
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