スバルとトヨタは、2022年シーズンのスーパー耐久シリーズの「ST-Q」クラスにバイオマス由来の合成燃料を使用した車両でそれぞれ参戦する。ST-Qクラスは、スーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久機構(STO)が参加を認めた自動車メーカーの開発車両や、既存のクラスに該当しない車両が出場できるクラスだ。
スバルは「BRZ」を、トヨタは「GR86」をベース車両とする予定だ。参戦車両の開発でも協力を予定している。スバル 代表取締役社長の中村知美氏は「スバルではカーボンニュートラル燃料の知見も経験も不足しているので、チャレンジになる。アイコンである水平対向エンジンをどのように未来につなげられるか、模索していく」と述べた。
カワサキとヤマハ発動機は二輪車向け水素エンジンの共同研究の検討を開始し、今後はホンダやスズキも加わって4社で二輪車のカーボンニュートラル実現の可能性を探る。
ヤマハ発動機 社長の日高祥博氏は「トヨタとの協力の中で自動車用の水素エンジンにめどが立ってきて、二輪車への展開を考えていた。一方、カワサキが二輪車で水素エンジンを搭載する計画を発表し、トヨタとカワサキで二輪車用の水素エンジンについて議論されており、それならヤマハも参加した方がいいということで、協力が決まった。クルマで成立したものを二輪車に展開するのは簡単ではない。回転数やエンジンのサイズの違い、燃料タンクなど、二輪車ならではのハードルの高さがある。しかし、内燃機関を残せないのかとサプライヤーからも声が上がっている。水素など、燃料に工夫することで内燃機関が残る戦略もあるのではないか。自動車で水素エンジンをやる中で分かってきたこともある。競争領域と、二輪車メーカー4社の協調領域にメリハリをつけながらやっていきたい」とコメントした。
二輪車のカーボンニュートラル化に関して、二輪車メーカー各社は排気量125ccまでのスクーターでは電動化が受け入れられやすいとみている。しかし、大型バイクはバッテリーの走行スペースや走行可能な距離の課題や、大型バイクに求められる走行性能を考えると電動化が難しいという見込みで二輪車メーカー各社の認識が一致し、4社での協力が決まった。
水素の製造では、新たに福岡市と連携する。福岡市では、下水処理で発生するバイオガスから水素を生成する取り組みを2015年から進めてきた。水素の製造能力は1日3300Nm3で、60台分のFCV(燃料電池車)「ミライ」に供給できる量だ。この他にも、大林組の地熱発電由来の水素、トヨタ自動車九州の太陽光発電由来の水素、福島県浪江町の太陽光発電由来の水素を使用する。
水素の運搬では、トラックにユーグレナのバイオ燃料を使用する。トヨタと商用車メーカーなどの共同出資会社Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)が連携し、水素の運搬に関する課題解決に取り組む。
従来は水素運搬用の金属タンクが重く、小型トラックでは積載できる本数に限りがあった。また、金属タンクの許容圧力の問題で、タンク1本あたりに充填できる水素の量に限りがあった。こうした課題を受けて、樹脂ライナー製のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)タンクの技術を活用して運送効率アップを目指す。
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