「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」では、電動化に関するさまざまな提案が行われた。同時開催の新車開発講演でも、ホンダが「電動二輪車の普及に向けた取り組み」を紹介。
「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」では、電動化に関するさまざまな提案が行われた。同時開催の新車開発講演でも、ホンダが「電動二輪車の普及に向けた取り組み」を紹介。エンジン車に比べて、価格や走行距離など課題が山積する電動二輪車だが、ホンダは2018年に発表したモーター駆動のEV(電気自動車)スクーター「PCXエレクトリック」に続き、2020年にはビジネスシーンに特化したEVバイク「BENLY e:」を市場投入している。
講演では二輪事業本部のチーフエンジニア2人が登壇し、これらのEVバイクの実用化に向けたこれまでの取り組みや開発面での苦労、ビジネスEVバイクの量産化に至った背景などを解説した。
2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すホンダでは、カーボンニュートラルの施策の1つとして二輪車の電動化を掲げている。ホンダのEVバイクへの取り組みは歴史が長く、1994年にEVスクーター「CUV ES」を官公庁や自治体向けに200台限定でリース販売したのが始まりで、2009年には電動スクーター「EV-neo」を企業や事業者向けにリース販売した。ただ、これらはあくまでも二輪車としてEVの可能性を模索した取り組みともいえる。ホンダとしてEVバイクの普及に向けて本格的に取り組んだのが、原付二種スクーターEVのPCXエレクトリックで、2018年から日本をはじめ東南アジア各国で発売した。
二輪事業本部・事業企画部で電動二輪車事業の責任者を務めるチーフエンジニアの佐藤彰一郎氏は、EVバイク普及のための課題として「走行距離」「充電時間」「バッテリー性能」「コスト」の4つを挙げ、「本格普及には走行距離の延長と、充電時間の短縮が欠かせない」と説明する。ただ、四輪車に比べてスペースやコストなどの制約が大きい二輪車では、大容量バッテリーを搭載して走行距離を稼ぐことは難しい。このため解決策としてPCXエレクトリックでは、着脱式バッテリーの「モバイルパワーパック」を採用した。
PCXエレクトリックの特徴といえるモバイルパワーパックの基本仕様は、定格電圧50.26V、定格容量/定格電力量26.1Ah/1314Wh、IP保証等級IP65、寸法298×177.3×156.3mm(最大寸法)、重量10.3kg。チーフエンジニアの佐藤氏は「セル、コネクター、バッテリーマネジメントユニット(BMU)の効率的な配置と、エネルギー密度を高めることで二輪車の車体に収まるサイズとした」と説明。加えて「モバイルパワーパックを持ち運ぶ際の利便性を考えてバッテリーパックのハンドルをT字形状とし、さまざまな持ち方に対応した」(同氏)という。
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