また、ギアや変速機を手掛けるサプライヤーとの協業により、e-Axle(Eアクスル)にも参入する。三菱電機のモーターやインバーターの開発、設計、生産までの経験と、協業先が持つ変速機やクラッチ、ギアセット、ハウジングの設計、生産のノウハウを組み合わせてe-Axleを展開する。
さらに、競合他社との差別化を図るため、モーターコイルの損失を最小化する高密度巻き線技術、インバーターとモーターでの損失を最小化した駆動制御、バッテリーを小型軽量化するための昇圧回路、両面冷却よりも放熱性能を高めたパワーモジュールの片面冷却構造、SiCパワーデバイスの使いこなしなど、小型化やコスト低減、電費改善に貢献するさまざまな技術を活用していく。
ADASは、2030年ごろまで事故防止や乗り心地など快適さの向上を目指した開発が主流となると見込む。並行して、E/E(電気電子)アーキテクチャが、機能のドメインごとにECU(電子制御ユニット)を統合する構造や、データを1つのECUに集める中央集約型に移行が進む。これにより、サプライヤーから自動車メーカーへの取引は、ソフトウェアを含めたハードウェアの販売から、統合ECUを前提にしたハードウェアとソフトウェアのセット売りや、ソフトウェアのみの販売へと変化すると見込む。
三菱電機では、ADASの認知/判断/操作のそれぞれに向けて求められる技術をハードウェア単体、ソフトウェア単体、またはその組み合わせで、自動車メーカーが選択できる形で提供していく。「認知」に関しては、センサーフュージョンや、運転中の状態推定まで含めたドライバーモニタリング、自車位置測位技術を、「判断」に関しては、走行する車両が多い状況での安全な経路生成や目標の経路に高精度に追従した車両制御モデルを提供する。「操作」には、電動パワーステアリング(EPS)やパワートレインの制御技術で貢献する。
MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)向けには、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)やカメラなどのセンサーを路側機に展開し、路車間通信、ダイナミックマップなどの技術も組み合わせたインフラ協調型の自動運転システムのプラットフォームとして提案していく。配車や走行ルートを決める管制システムや、エッジサーバなども手掛ける。社内外での実証実験を2022年度に完了し、事業化を目指す。
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