どんなに素晴らしい内容の発表でも、それが読み手や聞き手にうまく伝わらなければ意味がない。本連載では、技術者の皆さんを対象に、相手に伝わる発表内容の構成や資料の表現方法などについて伝授する。第4回は、プレゼン資料の中で部品や製品の形状情報をどのように表現するかをテーマに解説する。
技術者の皆さんがプレゼン資料を作成する場合、部品や製品の図を掲載することがよくあると思います。また、資料を分かりやすくするために、ちょっとした3Dのチャートを用いることもあるでしょう。そこで今回は、プレゼン資料の中で形状情報をどのように表現するかについて解説します。
プレゼン資料そのものの作り方から少しだけ離れますが、形状情報は技術者にとってなくてはならないものです。プレゼン資料の中で、カタチをキレイに使えるようになりましょう。
図面は、技術者同士が情報をやりとりするための標準的なフォーマットです。日本では図面の人気は根強く、図面から3Dモデルへの移行を啓蒙するような記事がMONOistでも多数掲載されています。日本ではいまだ人気の図面ですが、欧米では3D化への移行が思ったよりも進んでおり、業界によっては「3Dモデルが正」となっています。
これまで筆者は、2Dから3Dへの移行に関するお手伝いをたくさんしてきました。設計で3Dモデルを使うメリットはいろいろとありますが、3D CADを使って何が良かったかを設計者にインタビューすると、多くの皆さんが「コミュニケーション!」と答えます。つまり、カタチを伝えるフォーマットとして2Dの図面よりも3Dモデルの方が優れているということです。
技術者のプレゼン資料の構成の中で、カタチを伝えることはかなり重要です。カタチを伝えるために、図面は有効な方法ではありますが、図面には読解するための時間が必要です。また、その読解力には個人差があります。
図1は、単純な形状の三面図です。では、この三面図から3Dの立体を想像してみてください。
いかがでしょうか? あなたは何秒かかりましたか?
一般的に、機械設計者は三面図を読み解くことに慣れていますが、プレゼンに参加する人が全て三面図を解読できるとは限りません。それを補間するためにアイソメ図があります。アイソメ図は、三面図よりもはるかにカタチが分かりやすくなります。先ほどの三面図のモデルのアイソメ図が図2です。ご覧の通り、三面図よりもアイソメ図の方が、直感的にカタチが分かりますね。
なお、アイソメ図には正式な描き方があります。詳しく知りたい方は、以下のリンク先を参考にしてみてください。
また、当然ながら、たくさんの部品で構成されたアセンブリの場合、アイソメ図を描くのに相当な手間と時間がかかります。事実上、不可能といってもよいでしょう。
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