日立としては成長をけん引するデジタルソリューション群「Lumada」の事業に、グローバルロジックのデジタルエンジニアリングサービスを取り込んで、さらなる成長を早期に実現したい考えだ。そこで、2021年3月に開設したLumada Innovation Hub Tokyoを活用して、Lumadaとグローバルロジックのケイパビリティの融合を進めるとともに、グローバルロジックの速やかな日本市場参入も目指すことを決めた。
そして、2022年度から国内顧客向けにグローバルロジックのサービスを提供するべく、まず2021年度内は日立の社内事業に適用する検証プロジェクトをスタートすることとした。第1弾プロジェクトなったのが、日立のストレージ事業におけるas-a-Serviceビジネスモデル強化を題材にした共同ワークショップの開催である。日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット Lumada Innovation Hub Senior Principalの加治慶光氏は「Lumada Innovation Hub Tokyoで実施したオンライン説明会やワークショップには、既に1900人以上が参加した実績がある。コロナ禍の中でも、充実したディスカッションやプロトタイプ開発が行えており、世界多拠点で展開するグローバルロジックとリモートで行うワークショップにも適した環境が備わっている」と強調する。
2021年9月14〜17日の4日間で開催されたワークショップは、グローバルロジックの5拠点(米国、英国、インド、ウクライナ、ポーランド)とLumada Innovation Hub Tokyoをつなぎ、日立とグローバルロジックから、デザイナー、アーキテクト、DXプロセス専門家、エンジニアなど約50人が参加した。「グローバルロジックのプロセスとLumada Innovation Hub Tokyoの親和性は高く、リアル×バーチャルでの快適なコラボレーションにより、リモートでの多拠点間の議論を日本国内でも円滑に進められる手応えも得られた」(加治氏)という。
第1弾プロジェクトは、グローバルロジックのデザインセンターとの関わりが深いエクスペリエンスデザインに関わる検証となったが、第2弾以降は、アーキテクチャ検討からプロトタイピングや価値検証も行うデジタルエンジニアリング、グローバルロジックが「Chip-to-Cloud」と呼ぶビジネス実装・運用まで踏み込んでいく方針である。
なお、日立グループ内でのグローバルロジックへの期待は、ITセクター内にとどまらない。エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフなど他セクターとの連携も求められている。熊崎氏は「現在のところ、エネルギーやインダストリー、モビリティなど海外事業の規模が大きいところとの連携が先行しそうだが、デジタル化はどのセクターも喫緊の課題であり、早々にグローバルロジックのリソースを活用していくことになるのではないか」と述べている。
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