Dynabookが現場におけるDXを推進するモバイルエッジコンピューティングデバイス「dynaEdge DE200」の受注を開始。インテルの最新CPUである第11世代Coreプロセッサを搭載するとともに、独自ソフトウェアの「dynabook Edge AIエンジン」などと組み合わせた“現場DXプラットフォーム”としての展開を進める。
Dynabookは2021年9月7日、製造、メンテナンス、建設、物流、医療などの現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するモバイルエッジコンピューティングデバイス「dynaEdge DE200」の受注を開始すると発表した。Dynabook事業が東芝傘下だった2017年9月にリリースされた前モデルの「dynaEdge DE100」と同様に“身に着けて運用できるWindows10デバイス”のコンセプトを継承する一方で、インテルの最新CPUである第11世代Coreプロセッサを搭載するとともに、独自ソフトウェアの「dynabook Edge AIエンジン」などと組み合わせた“現場DXプラットフォーム”としての展開を進める。
dynaEdge DE200は、Windows 10ベースの小型ウェアラブルPCである。外形寸法は縦197×横85×厚さ20mm、重量は340gで、大型スマートフォンのような形状だが、表示ディスプレイは備えていない。端末の前面には操作のための5ボタンキーと生体認証のための指紋センサーを備える他、上面部にはUSB 3.1のType-A×1と同Type-C×1、マイク入力/ヘッドフォン出力端子×1、電源コネクターなどのインタフェースを集積している。また、高密度実装技術や省電力設計を駆使することで、内蔵リチウムイオンバッテリーによる動作時間で7.5時間(JEITA バッテリー動作時間測定法)を実現した。
現場作業時で起こりやすい衝突や落下から保護するため、端末の外周は衝撃吸収ラバーバンドで囲っている。自社の厳しい品質試験をクリアするのに加えて、今後は米国国防総省のMIL規格であるMIL-STD-810Hに準拠したテストの実施も予定しているという。
無線通信機能としてはW-Fi(Wi-Fi 6対応)とBluetooth(ver 5.1対応)を利用できる。さまざまな現場での業務をサポートするため、2021年度中にLTE対応モデルもラインアップに加える予定だ。
CPUはインテル第11世代Coreプロセッサを採用。ハイエンドモデルは「Core i7-1160G7」でメモリ容量は16GB、ミッドレンジモデルは「Core i5-1130G7」でメモリ容量は8GB、ローエンドモデルは「Core i3-1110G4」でメモリ容量は8GBとなっている。
dynaEdge DE200の現場DXプラットフォームとして力を引き出すのが、さまざまなソフトウェアだ。中でも新開発のAI(人工知能)エンジンであるdynabook Edge AI エンジンは、さまざまなセンシングデバイスからの情報を端末側でAI処理するためのフレームワークになっている。今回、dynaEdge DE200向けでは、仮想カメラ技術により追いかけたい対象物にマークを付ける「トラッキング機能」、カメラのゆれを補正し対象物をセンターに表示する「ゆれ補正機能」、暗い場所でも見やすく映像の明るさを補正する「明るさ補正機能」、効果を分かりやすく全画面に拡大して表示する「モニター機能」を提供する。
これらの機能は、Dynabookが提供する作業支援ソリューション「Vision DE Suite」で活用可能だ。Vision DE Suiteでは、これまで「Microsoft Teams」との連携による遠隔支援機能を提供してきたが、今回提供する新機能と組み合わせることで、Microsoft Teamsのカメラ映像画面も大きく拡大して表示できるようになった。
なお、dynabook Edge AI エンジンはパートナー企業が提供するさまざまなアプリケーションでも利用できる仕組みになっている。今後さまざまなパートナー企業とともにAI処理機能を組み込めるフレームワークとしてさらなる機能拡張を続けていくという。
dynaEdge DE200本体はディスプレイを持たない小型PCだが、スマートグラス機能を持つインテリジェントビューア「AR100」と組み合わせることで現場での活用範囲を広げられる。AR100を装着した現場技術者への遠隔支援を行う場合、dynabook Edge AIエンジンのゆれ補正機能を利用することで、これまで頭部装着カメラの位置ゆれで遠隔地側から確認しづらかった映像を安定させることが可能になる。
また、ユーティリティーである「dynaEdgeコントローラー」を利用すれば、端末前面の5ボタンキーでWindows 10上のさまざまなアプリケーションの操作を行える。これらのアプリケーションには、顧客の独自開発ソフトやパートナー企業のソリューションも含まれるという。
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