産業用IoTのデータ収集基盤を展開するアプトポッドは2021年3月8日、新たにエッジコンピューティングハードウェアのブランド「EDGEPLANT(エッジプラント)」を立ち上げ同年4月から展開を開始すると発表した。
産業用IoTのデータ収集基盤を展開するアプトポッドは2021年3月8日、ハードウェアブランド「EDGEPLANT(エッジプラント)」を立ち上げ、新たにエッジコンピューティング端末を開発し、同年4月から展開を開始すると発表した。
アプトポッドはこれまで産業用IoTデータの一次加工、ビジュアル化などを行うミドルウェア「intdash」を展開し、自動車メーカーや建設機械メーカー、ロボットメーカーなどの産業用データ活用で導入を進めてきた。しかし、取り組みを進める中で「モビリティに耐え得る車載品質のGPU搭載エッジコンピューティング端末がなくシステム構築に苦労するケースがあった。そこで、ハードウェア端末や周辺機器もわれわれで開発することを考えた」とアプトポッド 代表取締役社長の坂元淳一氏は経緯について語っている。
新たに立ち上げた「エッジプラント」は、アプトポッドのハードウェア総合ブランドとして展開する計画。開発したエッジコンピューティング端末は、設計はアプトポッドで行い、生産は外部に委託している。部品などは海外調達しているが組み立て生産は国内で行っているという。
第1弾製品として投入する車載対応型のエッジコンピュータ「EDGEPLANT T1」は2021年4月発売予定。車載対応型のオールインワンエッジコンピュータで、自動車、建機、ロボティクスなど、さまざまな分野における高度なIoT化とAI稼働環境を提供する。NVIDIA Jetson TX2を搭載し、AI実行環境、ビデオ処理をはじめとしたGPUエッジコンピューティングを実現する。また、SIMスロット、GPSモジュールなど、高度なIoT端末としての機能も備える。
また、モビリティ用途に対応し車載規格にいくつか対応していることが特徴である。広い電源電圧仕様(9〜36V)で乗用車に加え、商用車や建設機械にも利用可能としている。また、車載機器に求められるEMC規格(Eマーク)に準拠し、周辺機器や車両電源系統へのノイズ伝搬の抑制と高いイミュニティ性能を実現する。さらに、車載機器に求められる信頼性規格(JASO D014)に準拠し、過電圧や逆極性電圧に対する保護機能や耐振動、衝撃性能なども備えている。
動作範囲も通常より少し広げ、動作温度範囲は−20〜65℃としている。その他、意図せずケーブルが抜けるのを防ぐロック機構付きUSB3.0コネクターの採用や、エンジン(モーター)のイグニッションに連動した自動起動と自動シャットダウン機能、特定のCAN信号に連動して起動する「Wake on CAN」に対応するなど、産業用途での使い勝手を考慮した製品構成となっている。
複数のカメラ入力やエンコード処理なども可能としている他、さまざまな産業入力に対応するインタフェース周辺機器やカメラデバイスなども合わせて提供する計画だとしている。
アプトポッドでは「エッジプラント」ブランドのハードウェア製品について「『intdash』との組み合わせで新たな付加価値を提供することも当然可能だが、ハードウェアブランドとして独立で展開していく方針である。『エッジプラント』製品上で競合他社のデータ活用基盤などを活用することも可能だ」と坂元氏は述べている。
用途については「『intdash』の顧客が自動車や産業機械、建設機械などのモビリティにおけるIoTデータ活用が中心だったので、モビリティ用GPU搭載エッジコンピューティング端末として提案を進めたい。自動車における四輪の量産グレードの品質はまだ確保できていないが、建設機械や産業機械をインテリジェント化するためにROS(Robot Operating System)を駆動させる後付け用のエッジコンピューティング端末へのニーズが高まっており、その用途では最終製品向けとして対応できると考えている」と坂元氏は語っている。
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